第7話
去年。
佑耶の短冊を見つけて吃驚した私に、佑耶は「そういうことだから……」と歯切れ悪く言った。
それだけだった。
謝りもしなかった。
だから私も、何も言わなかった。
言えなかった。
本当に迷惑でしかなかったんだってわかってしまったから、何も言えなかった。
その日は思わず佑耶の前で泣いてしまったけれど、次の日からは何事も無かったかのように振る舞った。
振る舞うように努力してきた。
努力してきた、けれど。
今日はだめだ。
約1年ぶりに短冊なんてものに触れてしまった今日は、佑耶の前でいつも通りに振る舞うなんて到底無理だ。
だから、わざわざここに来たのに。
明日からまたいつも通りの私で佑耶と話すために、ここに来たのに。
どうして佑耶は私を探しに来たのだろう。
どうして佑耶はこんなことを聞くのだろう。
わざわざ掘り返さないで欲しかった。
そうしたら、明日にはいつもの私になるつもりだったのに。
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