最近買った本。「ズジスワフ・ベクシンスキー」の画集
ネット上で「3回見たら死ぬ絵」なんて紹介されることもある、荒涼とした大地にポツンと置かれた鏡台、そこに白い生首が載っている絵。
そう、それこそがズジスワフ・ベクシンスキーの作品である。私は余裕で3回以上見ているが生きているので大丈夫です。
この画家が描くのは、生命が死に絶え風化してしまったような茫漠たる風景。そんな退廃的で寒々しい世界に存在するのは、永い時間をかけて干からびてしまったかのような
それから、人智を越えたスケール感の巨大建築。ことごとく崩れ落ち、風化し、風にさらわれている。
全てが寂しく、悲しく、恐ろしく。常に濃密な死の気配が漂う。
しかしどこか心惹かれるのは、時折その
ある一枚は、まるで恋人同士が向かい合わせに抱き合った状態のまま終焉が訪れ、そのまま果てしない時間が流れて融合してしまったかのように見える。
またある一枚は、ベンチに腰掛けた人物が隣に座らせた犬の背を撫でている、そんな幸福な瞬間のまま干からびてしまったかのようだ。
あるいは赤子を抱く異形の者。あるいは干からびた主人を見上げる異形の犬。
私がこの画家の作品をみて喚起される感情は、
過ぎ去ってしまった時間への慈しみ、無念さ。
そしてそこで生き続ける悲哀。
恐怖や絶望は非常に大きい。だがそれだけではない。矛盾しているように思えるが、諦観の中に微かに希望や祈りの手触りがある。
もちろん受け取り方は人それぞれ。きっと正解も不正解も存在しないのだと思う。
今回買ったこの画集で作者の来歴を知る。ポーランド出身、少年期にポーランド侵攻を経験していたとのことで、廃墟や退廃、死などのテーマにどこか納得感もあり。
そして妻、息子の死。さらに自身は古い友人の息子に刺殺されるという悲劇的な最期。
退廃、腐敗、寂寥、緻密、過密……伽藍堂。
惹かれる方もきっと居ると思います。
うわ、キモい。怖い。
そんな感想を持つ人だって居るでしょう。
この画家は作品に対する理論付けや詮索を嫌い、作品にタイトルをつけていないそうですから。
なにを感じたって良いのだと思います。
いろいろ言ってきましたが。
とにかく単純に、かっこいい。
私が好きな理由は、ただこれに尽きる。
いち鑑賞者の独り言、おわり。
〈新装版〉
著者:
河出書房新社、初版2025
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