『僕のワクワク大作戦② 蜻蛉大作戦〈後編〉〜昭和の空を飛んだ少年〜』

@takapapa0716

第2話

【本文】


朝からの準備を終え、崖の上に立った僕たちは、ついに作戦を決行した。


「いけっ! 飛べ、マメ!」


その瞬間、マメは――飛んだ。


……ように見えた。


でも、すぐに姿が消えた。


「まさか……成功!?」


僕は空を見上げる。


けれど、どこにもマメの姿はなかった。


その代わりに聞こえてきたのは、下からの叫び声だった。


「マメが流されてるーーーっ!!」


* * *


急いで崖を駆け下りると、マメは川の中で必死にもがいていた。


でも、誰も川に飛び込めなかった。


岸から「マメーッ!!」と叫ぶしかない。


マメは犬かきのような動きで、どうにか岸を目指していたけれど、体力の限界は近かった。


そして、ついに――


マメは力尽き、ぐったりしたまま流されていった。


* * *


そのときだった。


運よく、通りかかった農家のおじさんが川に飛び込んで、マメを引き上げてくれた。


泥まみれのマメを見て、おじさんはため息をついていた。


命は助かった。だけど、そのあとが本当の地獄だった。


* * *


僕はその後、マメの両親に思いきり叱られた。


顔が変形するほどぶたれた。


でも……僕はニヤニヤしていた。


「次こそ、もっと完璧な作戦を……」


そう。すでに頭の中では、次の飛行計画がスタートしていたのだ。


* * *


空は飛べなかった。


でも、“空を飛ぶ気持ち”だけは、ちゃんとそこにあった。


そして僕は、また心に誓った。


「次こそ、もっと完璧な飛行作戦を立ててみせる――!」



【あとがき】


怒られても、叱られても、僕の“ワクワク細胞”は止まらない。


懲りない僕が次に目をつけたのは――セミ。


次回、『僕のワクワク大作戦③:セミ大作戦〈前編〉〜あの鳴き声に乗って〜』で、また空を目指します!

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