第3話 俗世での生活その2

「‥‥‥ん」目を覚ますと午後4時を回っている。


取り敢えず起きて布団を整え、洗面所で顔を洗い身支度を整えたらドラッグストアへ向かう。


いや、真向かいだから便利なんだよねぇ。

入店したら次の修行中に必要な携帯食やサプリメント、ごみ袋に清掃道具なんかもカゴに放り込んでカートも追加で動かし師父の分の酒も含め少々多めに買う。


「野菜高いなぁ」物価高の影響もあるだろう、((まあ、野菜や肉も魚もあるから買わないけれど))仙人だって食事は取る。

修行のメニューによっては穀物禁止したり、断食があったりするが、基本食べるし飲む。


食糧は山で取るのもあれば、猟師からいただくこともあるし、畑の隅に棄てられた野菜などは無料で貰える。



「お会計、12000円です。」

丁度の金額をだし、エコバッグに商品をいれて家に帰る。


帰宅。「さて、夕飯は調合飯でいいか」


調合飯、炊飯釜に材料をぶち混んで炊くだけでできる栄養食である。



「あとはスイッチ押して、待っている間に宝貝パオペイの手入れしておかないとな」


宝貝、仙人が扱う不思議道具みたいなものだ。

俺が持っている宝貝は一見、ただの木刀にしかみえないものだが、氣を流し込めば真剣同様に斬ることができる。



なお、宝貝は武具ならず防具や装飾品等もある。

全て木材や石から出来ているのだが加工の際も氣を流し込めながら造るので、

一般人でも宝貝を身に付けていると何らかの効果を得られるので、むやみやたらに譲渡しない盗られないよう厳重に保管されている。


さて、俺の宝貝の手入れはとても簡単である。

椿油を塗りたくり、乾いた布で拭き取り、そして木陰で風に晒す。


「月1くらいだがこう数振りもあるとちょっとたいへんなんだよなぁ」ぼやいていると

「~♪」炊飯器からお知らせ音がなる、数分蓋を閉じたまま放置し充分蒸れたら開けて釜ごと箸でかきこむ。


「ガツガツガツガツ‥ゴク、っはー食った!」


ある程度消化してきたら釜や箸を洗い、洗濯物を取り込み畳んでやることを終えれば晩酌といく。


「たまには清酒でも飲もう。」

2合ほどゆっくり飲んで録り溜めていた番組を観て夜20時を過ぎた頃床に着くのであった。




「スヤァ」




「よく寝ているなぁ」午前0時をまわった頃、

布団で眠る付喪の傍で酒を片手に胡座をかくやや鈍い銀色の髪を後ろに一つに結う女は微笑むのであった。

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