My angel is as if she were my child
瑠璃桜(るりさ)
第1話
この場にお立ちあいいただき皆様方。
これはおそらくあなたさまとは理が違う世界、皆様方の世界と違い、神と神が作りし種族が関わることが多き世界においてのものであります。
また神と言いましても様々いらっしゃいございますから神が作りしといえど、様々いますのが世の常であります。例えば、人、人獣族、長耳族、吸血族、など様々であります。
そして、今回皆さまにお楽しみいただくのは神の使いでありその系譜に連なる天使と邪神の使いでありその系譜に連なる悪魔とのお話であります。
ではどうぞお楽しみくださいませしがない語り部から愛を込めて。
なんか面白いもなないかなあと口にしてはみるもののその言葉は魔界の空に消えていく。
ここ最近は邪神さまから討伐してこいとか面白いものを食べさせろとか暖具にになれとかで呼ばれることもなく比較的平穏に相棒と日々時間を潰すあまりでこれと言って面白いことはない。ただいまは相棒に頼まれた素材を撮りにいくために森に向かっているのみである。
僕は断じて便利屋ではないのだが。
しばらく歩いていると景色が鬱蒼とした森の中に景色が変わる。
目的のものを得るために気配を消す。
そうして歩いていると感知の魔法に複数の魔獣が掛かる。どうやら素材はまだ僕に気づいていないようだ。
素材を無傷で採取するためにあたり一体に結界を張り、周囲にある魔力を加工して目的の素材を昏睡させる毒ガスをつくりだす。
すると素材たちは結界が張られたことに気づき警戒体制をとり出すがもう手遅れである。
もうその頃には体に毒が周り次々と倒れていく素材たちといつもの平穏な森があるだけであった。
素材をとり終えて僕は自分の家の扉を開ける。
「とってきたよ知りたい。」
するとはーいという返事とともに当の相棒が上から降りてくる。
相変わらずの綺麗な藍色の髪であるがそのかみはいつものことといえばいつものことであるのだがチリチリになっていつものショートツインテールが縦ロールになっている。
「また何を爆発させたんだ?」
と聞く。この実験厨はいつもリスクの高い実験ばかりをして大抵部屋を一つ二つ吹き飛ばす。
「新式の空間断絶術式の実験してたら、術式が壊れて爆発した。」
「何部屋吹き飛んだんだ?」
そう聞くと知りたいは罰が悪そうに、
「三部屋が跡形もなく吹き飛んで下にあった大型実験場も半壊しちゃった。」
と想定以上の損害を報告してきた。正直壊れる前提である程度の防護結界しか施していない普通の部屋と違い、割と本気の材料と術式で作った大型実験場も吹き飛んでいることには驚いた。
このホームデストロイヤーは世界征服でも企んでいるのだろうかと疑いたくなる。
真面目にあとで聞いてみようかなと考えていると知りたいが
「でもでも、ちゃんと多重結界を張り巡らせていたし、部屋に危険物とかおかないようにしてちゃんと安全に配慮したよ。」
とツッコミどころ満載の発言をしてくる。
「あのさまずさ暴走しないような小さな術式から初めてみたりとかさ。安全装置を術式につけるとかさ、ちょっと考えてどうなるか予測するとかさもっと事前にするべきことあると思うんだけど。」
「まあ・・・うんそうだね。うん次から気をつけるね。そういえばさ,頼んでいた素材どう?とれた?」
と露骨に話を逸らしてくるがそれには惑わされるほど付き合いの短い間柄ではないがもう良くなったので流される。
とりあえずとってきた素材と前に頼まれていた実験道具をかざして、
「とりあえず家の修復が完了するまで素材と新しい実験道具は渡さないからさっさと直しにいくぞ。」
「はーい。なりたいも手伝ってね。お願い。」
と頼んでくる。
一体誰が壊したんだと思いっきり突っ込んでやりたいところであるが、そうやって頼まれてしまったらそれでも手伝ってしまうのが僕という悪魔の性である。
「しゃーないな手伝ってやるからさっさと修復するぞ。」
「ありがとー。」
と言って知りたいは引っ付いてくる。いつも通りいい感じの鬱陶しさである。
「あーもー離れてくれ。」
「言ってることと顔が一致してないよ。それはちょっと喜んでる時の顔でしょ。変わることに対する欲求を冠する悪魔なのにそういうとこは変わらないね。」
そういう知ることに対する欲求を冠する君は変わらず人の心を知ることが好きなようで何より。
知りたいが壊したという部屋に行ってみるとそこには爆発によって壊れた後というよりはそのまま空間が抉り取られたかのような光景が広がっていた。
泡沫館の住人に被害が出ていなければいいがと一瞬考えたが、報告がないということは大丈夫そうである。爆発音などいつものことすぎて慌てる声も聞こえてこない。
そして事故現場に目をやると断面にあたる部分には青いプラズマが帯びている。
かなり派手にやったようだ。空間が歪んでる。知りたいの実験ならこれくらい当たり前なのだが、なんだか違和感がある。
「なあ知りたいちゃんなんかいつもにまして酷くないか?一応知りたいなりには安全には配慮していたはずなんだよな。」
すると知りたいは首を傾げながら。
「そうなんだよ。だって計算では暴走しても部屋が一つと左右の部屋が吹き飛ぶ程度のなんだけど…」
なぜこの実験狂はそこまで想定できるのに頑なに家を吹き飛ばし続けるのだろうか。と建材を出しながら考える。
「というよりも、さっきから色々な条件を想定してるんだけどここまで大きな爆発が起きることまして実験室の断絶結界を打ち破るなんてことあるのかな?」
とぶつぶつ言いながら知りたいは基礎を組み立てなしている。実際、この結界はそこらそこんじょの龍種程度じゃ傷一つつけられないほど強力に作ってある。
あとこのクレイジー・デーモンさんの計算はなかなかに正確であり、なかなか外れない。要するに外部からの干渉があった可能性があるということになる。しかし、形跡が全くない妙だ。
と考えているうちに建物自身の修復が終わった。随分考え込んでたようだ。
「あとは結界類をはるだけだな。」
と言って知りたいの方を見ると準備は万全のようだ。建物のそばに主要素材と事前にストックしてある基本魔法陣を取り出しておく。
「七星竜の鱗、ヴィーレントリメリレイアの魔核、守護天使の瞳を使うのは勿体無いよやっぱり、これ取りに行くの大変だったんだから。」
「その貴重な素材を使った結界をぶち破った悪魔はどこのどいつだよ。」
知りたいが『うっ』と露骨にバツの悪そうな顔をする。
そうして、僕は素材同士を本来結合しない素材組み合わせで結合させて安定化させる。
そして知りたいは基本魔法陣に書き足して魔法陣を完成させる。
「じゃ、発動させますか。」
「じゃあせーの。」
いつもこの二人で新式の魔法を一番最初はできる限り一緒に行使するというこの謎の儀式の意味は甚だ疑問だが、いつものように魔力を魔法陣に通して起動の準備をする。
「「複合万能逆位相結界」」
魔法を発動させた瞬間魔法陣が輝き出し、透明な膜が建物を覆い結界の上で正常に魔力が循環を始める。
新型の魔法なので不安もあったが無事に発動したようだ。
My angel is as if she were my child 瑠璃桜(るりさ) @rurisa_0909
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