一、永∞

 世は永∞である。


 俗的に換言すれば、我々の住む世界は永久機関、である。


 そう断言する理由は、少なくとも我々の住む世界即ち認知限界の輪において存在と非存在の対が生成された時点で、世界の外側から何らかの始原エネルギーが働いている、としか判断できず、かつ、全てが無限の相似形波紋であるからには始原エネルギーと思い込んでいる外側へとどれほど架空認知限界を拡張してもそれは無限であるに違いない、からである。


 人が倒れる姿をドミノ倒しにたとえてみると、わかりやすいかもしれない。


 人が、ドミノを倒す。ドミノの雪崩なだれは色々に連鎖する。

 地底世界から復活した巨人が、人を倒す。人の雪崩なだれは色々に連鎖する(地震、などと比喩してもよいだろう)。

 "宇宙の巨人"が、巨人を倒す。巨人の雪崩なだれは、色々に連鎖する(惑星破壊、などと比喩してよいだろう)。

 ""宇宙の巨人よりも大きな巨人""が"宇宙の巨人"を、"""宇宙の巨人よりも大きな巨人よりも大きな巨人"""が""宇宙の巨人よりも大きな巨人""を……と、外から内に、倒し続ける(教科書的科学的宇宙の範疇であれば、それぞれ星系破壊、銀河破壊、銀河団破壊などと呼べそうである)。


 人型の何かが、その指先で、コツンと、たいそう容易に、自身よりも小さな(大きいかもしれない)相似形を倒す。

 それが入れ子的に連なる。

 永遠である。

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真理溶媒の書 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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