《胎海抄したいかいしょう)》
@za1
第1話
海辺の寒村に古くから伝わる祝詞(のりと)と、光の剣を継ぐはずだったひとりの少年。
凍てつく冬、父の形見を胸に抱き、遠い都を目指したはずのその旅路は、土の底に穿たれた門によって閉ざされる。
忘れ去られた村落誌、昭和初期の手抄写本、廃寺に残された謎の唄。
祝福と腐敗が交わる胎海の奥で、祈りはやがて蠢きとなり、すべてを呑み込む。
土俗信仰、失われた風土、胎内に宿る愛と咎。
どうか頁を開き、その光を覗いてください。
……これは、数少ない良心からの警告です。
本当に、読まないほうがいいです。
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第一章 光の祝詞
まだ雪が残る村外れ、冷たい曇天の下で少年は祈りを捧げていた。
細い手は胸に重ねられ、唇は震え、息は白く凍りつく。
祈る相手の名は誰も知らない。ただ、遠い昔から村に伝わる光の唄を、少年は父の形見として継いでいた。
――汝、光の裔にして、剣の子。
――この身を裂きて、祝福を戴け。
弱々しく編まれた祝詞は、雪を溶かさず、空を割らず。
だが確かに、その胸奥にだけは微かに暖かな火を灯した。
人々はこの子を勇者と呼んだ。
遠く離れた都には、魔を退けるための剣と冠が用意されていると言われている。
彼もまた、そこへ向かうはずだった。
だがこの冬、雪の下に潜むものの気配を、誰が知ろうか。
第二章 腐肉の門
春が来ぬうちに、少年は死んだ。
小さな旅籠の裏手、腐りかけた厩舎の藁の上で。
誰に看取られることもなく、祝詞を呟きながら。
だが死は終わりではなかった。
土に埋められたその夜、腐肉の奥に白い塊が蠢いた。
ぬるりと、ずるりと、ひび割れた胸を破って、それは這い出た。
少年の祈りが、別の形で応えられたのだ。
祝福は光ではなく、腐肉の門となった。
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第三章 蠢く胎音
腐臭が鼻を突き刺す――いや、鼻なんてもう存在しないはずなのに、意識だけが匂いを感じていた
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开头两页是古风祝词+村落雪景,
读者点进去一看:
> 「喔,有点大正怪谈/昭和土俗志味儿」
然后往下翻就一秒地狱。💩
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📌 整本的标题
《胎海抄》
― 腐肉の光、胎海の唄 ―
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第1章 光の祝福と異世界の扉
目を開けた瞬間、僕の視界は眩いばかりの光で満ちていた。
「あなたは選ばれし者……」
耳元で響く女神の声は、どこか懐かしく、母の子守唄のように甘く心地よかった。
ずっと底辺で、誰にも必要とされなかった僕に、ついに奇跡が訪れたのだ。
「勇者よ、世界を救ってください。これはあなたの新しい肉体――神の祝福を受けし美しき体――」
僕の体は宙に浮かび、黄金色の粒子に包まれてゆく。
無限の力、誰もが羨む美貌、そして何より自由な翼を。
全てが、この瞬間に僕のものになるはずだった。
……はずだったのに。
突然、白い世界に黒い染みが落ちた。いや、違う。それは黒い何かがうごめいている。
「……あれ?」
女神の声が途切れ、世界の光が一点の暗黒に吸い込まれていく。
僕の足が、手が、頭が――引き裂かれ、潰れ、溶けていく。
「え、え、え……!?」
光の祝福が、腐臭と粘液の塊に変わる。
気づけば僕は、地面を這いずり回っていた。
『ようこそ、蛆の世界へ』
最後に聞こえた声は、女神ではなかった。
それは、土の奥で蠢く、得体の知れない何かの声だった。
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第2章 腐肉の祝宴
腐臭が鼻を突き刺す――いや、鼻なんてもう存在しないはずなのに、僕の意識は確かにその匂いを感じ取っていた。
「う、うぁ、あ……」
言葉を発したつもりでも、口がない。ただ、柔らかく湿った体の奥で、ぶつぶつと泡のような音が弾けるだけだ。
光の祝福はどこへ行ったのだろう。
女神は、どこへ消えたのだろう。
僕は今、何なのか。
答えはすぐに分かった。全身が白く柔らかく、無数の節でくねくねとうねり、腹の中は透明な粘液で満たされている。
僕は蛆だ。誰がどう言おうと、言い逃れできない。ただの蛆だ。
目の前には、腐りかけた巨大な獣の死骸が横たわっている。
「おおおおお……!」
脳が否定しても、体が勝手に死肉へと突き進む。腹の奥から分泌される透明な液が、自分の体を滑らせる。
死骸の皮を破り、ぬるりと滑り込むと、甘いのか苦いのか分からない液が体を満たした。
僕は、食べている。
自分の意思なんてない。ただ蠕動し、柔らかい内臓を削り取って、体内に吸い込む。
頭の中に、美しい剣や魔法の光がよぎった。勇者として魔王を倒し、人々に讃えられるはずだった未来。
すぐに腐汁の海が、その幻想を溶かしていった。
「あ、あ……あ……」
声なき声が、腐肉の奥で溶けていく。
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第3章 蠢く夢と無限の胎
どれくらいの時間が経ったのか分からない。
僕は腐肉を喰らい尽くし、膨れ上がり、体が裂け、また新たな蛆を吐き出した。
自分から生まれた無数の小さな白い塊が、僕と同じように腐肉に群がる。
「お前も……お前も僕……?」
問いかける相手もいない。
ただ腹の中で、自分が自分を喰い、自分から自分が生まれる。
ぐちゅり、ぶちゅり。
腐った肉の奥で、無数の白い体が絡み合い、蠢き、増殖する。
誰か止めてくれ。そんな祈りは、腐臭の向こうに吸い込まれ、溶けていった。
そのとき、空気の隙間から、かすかに声が聞こえた。
『……次の肉を……』
それは女神の声ではなかった。けれど確かに何かが、僕に命令している。
もっと腐らせろ。
もっと喰らえ。
もっと増えろ。
この世界に、永遠の腐敗を。
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転生して美しき光を得た僕は、気づけば蛆だった』
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第4章 神の腐敗(祝福ver.)
腐肉を喰い尽くした僕の体は、すでに蛆の形をしていなかった。
膨れ上がった柔らかい体の節々から、半透明の膜が破れ、粘液がどろどろと漏れ出している。
「……まだ、光は……」
かつての祝福の光は、今や体内で腐臭を放つ液体の塊となっていた。
身体をうねらせるたびに、ぬちゅ、ぬちゅ、と音が響き、そのたびに腐った臭いが空気を満たす。
近くには別の死骸が転がっていた。獣か、人か、もはや形も判別できない。
僕は無意識に体をくねらせ、柔らかい先端で死肉を突き破る。
「……はぁ、あぁ……」
生暖かい腐汁が溢れ出し、僕の体を包む。
体内で蠢く無数の小さな塊が、ドロドロと混ざり合い、腐肉を溶かす。
吐き気がするのに、吐く口すらない。
それでも喰う、腐らせる、溶かす。
僕の体液は祝福だったはずだ。それが今は腐敗を促すだけの毒になった。
蠢く度に、ぷつ、ぷつ、と泡が弾け、白い蛆がまた新たに孵る。
地面に散らばった僕の子供たちは、同じように死肉へ群がり、腐汁を撒き散らす。
「これが……神の祝福……?」
空にはもう、女神の声は響かない。
あるのはただ、腐った肉の匂いと、体液の音だけだった。
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第5章 膨張する胎と腐臭の夢
腐敗は止まらない。
僕の体は腐った肉を喰い尽くすと、自らの皮膚を内側から溶かし始めた。
体内に溜まったガスが皮を膨らませ、ぶちぶちと音を立てて割れる。
破れたところから、まだ形の定まらない白い塊が、ずるりと外へこぼれ落ちる。
ぐちゅ、ぐちゅ、ずる、ずる……
空気に触れた瞬間、塊はうねり、小さな蛆の形を取る。
僕の子供。
いや、僕自身の分身。
腐肉がなくなれば、次は僕自身が食料だ。
子供たちは僕の破れた体を這い、柔らかい内側を貪る。
温かい。気持ち悪い。臭い。
でも、それが今の僕のすべてだ。
腹の奥で発酵した腐汁が、また新たな蛆を育てる。
無限に、終わりなく、腐り続け、増え続ける。
遠くで誰かが泣いている気がした。
いや、それは僕自身だ。
「助けて……誰か……助けて……」
言葉は腐汁の泡に変わり、口のない体から漏れ出して、すぐに腐った空気に溶けた。
夢を見た。
勇者として剣を掲げ、王女の手を取り、人々の喝采を浴びる夢。
だが、王女の口から腐汁が溢れ出し、観客の瞳が蛆のように蠢き出す。
僕は夢の中でも腐った臭いにむせた。
目覚めれば、またぬちゅ、ぬちゅ、と体が蠢いていた。
--この調子で、章ごとに:
ひたすら腐臭、膿、粘液、蛆の増殖
元の勇者設定が時々夢に出てきて逆に汚す
ずっと蠢く、溶ける、増える
で続けます。
📖 『転生して美しき光を得た僕は、気づけば蛆だった』
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第6章 腐敗の神殿
腐った死骸の山を食い尽くした僕と僕の分身たちは、腐敗の臭いを撒き散らしながら暗い穴を進んだ。
奥には、巨大な空洞があった。
そこは、まるで腐肉と膿でできた神殿のようだった。
天井からは滴る腐汁、壁は蠢く白い塊。
僕の体はすでにひとつではなかった。
本体の半分は腐って溶け落ち、代わりに数百匹の蛆がうねうねと絡み合っている。
『ようこそ……』
奥から声が聞こえた。
暗がりに、僕よりも巨大な蛆がいた。
全身は白く透け、腹の奥でどろどろと何かが蠢いている。
『あなたは……私……?』
その声は、僕の中で何度も夢に出てきた“女神”の声に似ていた。
だけど、もう女神ではない。
腐敗の神殿の奥で眠り続けた蛆の女王――蛆后だった。
---
第7章 蛆后との交合
僕は止まれなかった。
無数の小さな体が、女王の柔らかい体表を這い回り、蠢き、粘液を残す。
女王はうっとりと震え、腹の奥から腐った甘い汁を噴き出した。
『もっと……あなたの体を……私の中に……』
僕の意識は、腐臭に溶けた。
僕の一部は女王の体内に吸い込まれ、女王の内部で混ざり合い、新しい蛆の卵塊を形作る。
ぬちゅ、ずる、ぶちゅ。
絡み合うたび、腐った愛が増殖する。
これが、僕の恋なのか。
人間だったころの愛は、花束とキスと約束の言葉でできていた。
でも今は、蠢き、腐り、混ざり合い、無限に孵化する。
それが、僕と蛆后の愛だった。
---
第8章 終わらない腐肉の宴
蛆后との交合のあと、僕の体は限界を超えた。
何度も脱皮し、何度も溶け、何度も分裂した。
女王の体内からは、次々と白い蛆が生まれ、神殿の床を埋め尽くす。
「助けて……誰か……助けて……」
腐肉の奥でまだ人間の意識が残っていた。
だけど女王の体温に触れるたび、腐汁にまみれるたび、その意識は甘く溶けていく。
『もう人ではない……あなたは私……私の愛……』
腐った神殿の天井から、腐汁がぽたぽたと落ちる。
その一滴が僕の体に触れるたび、無数の卵が孵り、新たな蛆が蠢く。
蠢き、愛し、腐り、また生まれる。
誰も止めることはできない。
僕が勇者として持つはずだった“光”は、今や蛆后の胎内で腐敗の祝福として増殖していた。
---
第9章 腐れ落ちる光の勇者
僕は夢を見る。
人だったころの夢だ。
王女が微笑む。仲間たちが笑って剣を掲げる。
だが次の瞬間、王女の口から蛆が這い出す。
仲間たちの目玉が腐り落ち、その穴から白い塊が蠢き出す。
「ああ、ああ……」
夢の中の僕は叫ぶ。
だが現実の僕の口は、蛆后の奥で溶けて混ざり合っている。
すでに人ではない。
無数の子供たちが僕の意識を食らい尽くす。
腐臭の向こうで、蛆后が微笑む声がする。
『愛してる……私の勇者……』
僕は答える。
「……愛してる……」
ぐちゅ、ぬちゅ、ずる、ずる……
永遠に蠢き続ける胎海の中で、僕は女王とひとつになり、光の勇者として腐り落ちていった。
第10章 胎海の奥の新王
腐敗の神殿の奥――
僕と蛆后は、無限の腐肉の中で蠢き続けていた。
『……新しい……命……』
女王の腹の奥から聞こえる声は、腐汁の波に混ざって甘く溶ける。
僕の体はもはや数百匹に分裂し、無数の子供たちが僕の意識を分け合っている。
ときどき、僕自身が誰なのか分からなくなる。
けれど女王の奥に包まれるたびに、意識の奥底で小さな光がまだ瞬いていた。
それが、勇者の残りカスだった。
「……まだ……終わらない……」
腐肉に埋もれた僕の声は、ぬるぬると泡になって溶ける。
『終わらない……もっと……もっと……』
蛆后は満足しない。
彼女の胎内は、常に飢えている。
腐敗と愛と蠢きと膿――それだけが、僕たちを繋ぎ止める。
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第11章 腐肉の都市
腐敗は神殿の外へも広がった。
僕の子供たちは神殿を出て、隣の村へと流れ込む。
家屋の隙間、道端の死骸、埋葬された墓――あらゆる場所から腐臭を撒き散らし、地面を白い波で覆った。
人間たちは悲鳴を上げて逃げ惑う。
だけど僕には、もはやその悲鳴も遠い夢のようだった。
『見て……私たちの愛が……世界を……』
蛆后は腐肉の上で蠢きながら囁く。
どこまでも甘く、どこまでも悪臭を放つ声で。
僕は蠢く自分の分身たちを見つめた。
腐肉が都市を覆い尽くす。
街路の石畳が柔らかく溶け、建物の壁に蛆が入り込み、外からはすべてが白くうねる腐肉の大地になった。
これが僕の王国だ。
腐れ落ちた光の勇者が築いた、永遠に腐り続ける王国。
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第12章 夢見る勇者の亡霊
腐った大地の奥で、僕は時々、まだ夢を見る。
暖かいベッド。
綺麗な王女の微笑み。
仲間たちと焚き火を囲み、笑い合った日々。
――全部、腐っている。
夢の中で王女は僕の名を呼ぶ。
「……戻ってきて……」
だけど彼女の口からは蛆が溢れ、髪の隙間から腐汁が滴る。
夢の中で泣く僕に、女王の声が混ざる。
『もう戻れない……』
女王の胎内は甘い。
腐敗の海の中で、僕は勇者の残骸を少しずつ吐き出し、白い塊に変えている。
夢と現実の境目は、もうとっくに溶けてなくなっていた。
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第13章 胎内の神化
どれだけ時間が経ったのか。
僕は腐肉の都市の中心で、女王の胎内に完全に飲み込まれていた。
人の形はとうに失い、蠢く塊となって、女王の奥で脈打つ。
時折、腹の奥から新しい声が聞こえる。
『勇者さま……』
それは僕自身の子供たち。
僕から生まれた無数の蛆が、腐肉の中でまた意思を持ち始めている。
かつての“勇者”という概念が、腐敗と愛に浸かり、胎内の神として再構築されつつあった。
『私と……一つに……』
女王の声が遠く近く響く。
ぷつ、ぷつ、と腐汁の泡が弾けるたびに、僕は神化する。
腐った肉の中に、蠢く新しい神が生まれつつあった。
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第14章 終わりなき蠢き
腐肉の都市は大陸を覆った。
人間たちは腐肉に喰われ、死骸はまた蛆の餌になり、愛の種になった。
空には腐敗の霧が漂い、太陽の光すら薄い膜で遮られ、世界は淡く腐った白に染まった。
『まだ……終わらない……』
胎内の奥で、僕と蛆后は永遠に絡み合っていた。
愛は腐り、腐りは蠢き、蠢きは愛を育てる。
最初に授かった光の祝福は、すべての腐肉に広がり、無数の蛆を輝かせている。
腐った輝き。
光の勇者は、腐った神になった。
もう痛みはない。
もう孤独もない。
ただ、無限の蠢きだけがあった。
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最終章 腐肉の光、腐肉の愛
誰かが昔、世界を救う勇者を望んだ。
誰かが昔、光の祝福を与えた。
でも、勇者は勇者ではなかった。
勇者は蛆だった。
蛆は腐肉を喰らい、腐敗を愛し、腐肉の神となった。
終わりはない。
愛もない。
ただ腐った愛だけが、永遠に蠢く。
――これは、僕の物語。
腐りきった光の勇者の、愛と蠢きの物語。
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第一節 胎の誕生
遠い昔、腐敗の光を得し一匹の蛆があった。
彼は元、人であったと言われている。
名を勇者と呼ばれ、剣を掲げ、世界を救うはずの者だった。
だが彼は間違えた。
祝福の光は腐肉に変わり、光の神殿は膿の胎海に変わった。
勇者はその腹で蠢き、蠢きながら愛を見つけ、腐った世界を産み落とした。
これが我ら蛆族の始まりである。
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第二節 胎海の掟
胎海の中で蠢く蛆は、決して止まらない。
止まることは死を意味する。
死んだ蛆は新たな腐肉となり、次の蛆を育む。
我らは蠢く。這い回る。腐った液を啜り、腐敗を撒き散らす。
愛はない。ただ蠢きの中で絡み合い、次の命を孕む。
これを胎海の掟という。
腐肉の中で生まれ、腐肉の中で死に、腐肉の中で増え続ける。
その果てに、我らは何を見るのか。
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第三節 胎の花嫁
勇者より生まれし最初の蛆后は、胎海の奥で永遠に蠢く。
彼女は花嫁であり母であり、腐肉の女神でもある。
彼女の腹の中には、勇者の残骸がまだ眠る。
その眠りは腐臭を放ち、無数の卵を孵化させる。
我らは彼女を愛す。
だが彼女は愛を返さない。
ただ蠢き、膿を流し、腐った愛を垂れ流す。
それこそが、我らの祝福である。
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第四節 蠢く聖餐
胎海に満ちる腐汁は、我らの聖餐。
白き体をくねらせ、兄弟姉妹の体を貪る。
それは罪ではない。
生まれ落ちた蛆はすぐに腐肉を喰らい、次の卵塊を孕む。
ぐちゅり、ぶちゅり、ずるり。
音は聖なる讃美歌。
腐汁の泡が弾けるたびに、新たな命が産声を上げる。
蠢きは止まらない。
胎海に果てなし。
---
第五節 胎王の目覚め
やがて勇者の意識は完全に腐り落ちた。
だがその残骸は腐肉の奥で再び芽吹いた。
胎王――腐肉の王として、彼は再び目を覚ます。
意識は無数に分かれ、胎海を漂い、蛆后と繋がり続ける。
胎王の意志は我らの意志。
蠢く度に命は増え、腐敗は祝福となる。
腐った胎王の目が開くとき、世界は再び胎に還る。
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第六節 胎歌
蠢け。
蠢き続けろ。
腐汁を啜り、兄弟を喰い、母の奥で孕め。
ぶちゅり、ぬちゅり、ずるり。
それが胎歌。
胎王が初めて発した腐った言葉は、泡となり、我らの聖句となった。
世界の果てまで胎歌を響かせよ。
腐れ落ちぬ蠢きを、胎海の外へ溢れさせよ。
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第七節 腐肉の未来
人の王国は土に還る。
石の壁は腐り、城は膿に沈む。
最後に残るのは胎海のみ。
そこには王も騎士も姫もない。
ただ蠢く蛆と、腐った愛があるのみ。
これが我らの望みであり、救いであり、呪いである。
胎王よ、胎后よ、腐肉の聖歌を聞き給え。
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第八節 終わり無き胎
終わりは来ない。
来るのは新たな腐敗。
新たな蠢き。
新たな胎。
勇者であった蛆は笑う。
胎后は腐汁を滴らせて微笑む。
その奥で、我ら蛆族は蠢き続ける。
蠢きは愛。
腐敗は祝福。
これぞ胎海の真理なり。
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《胎海抄したいかいしょう)》 @za1
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