許嫁


「えぇ!ジユン姉様が世子様の許嫁になった!?」



まああらかじめ可能性は大いにある話だったんだけど、、。

まさか、本当にまさかね。


「ええ。もうほぼ確実みたいよ。まだ先だけど、婚姻するってのはね」


あっさりとソヨン姉様は言う。


「まだ実感も湧きません」


正直なところ、本当にそう。


「まあでも私たちは送り出すだけよ」


送り出すだけ、ね。

私はどうなんだろう。

これは危険な方向に行って、父が王権を握ってしまうなんてことがあるかもしれない。


「信じられない……」


「あっヨンジュ!出かけるって言ってなかった?」


急にソヨン姉様が話を変える。


「あっ」


「それじゃ私は部屋に戻るわ」


そう言って、ソヨン姉様は去っていった。


ヨンジュは、難しい事でも考えているような表情かおをしていた。


「ジユン姉様が世子様の許嫁になった……。つまり、王妃になるかもしれないのよね」


虫唾が走る。

何か嫌な予感……


あっ。

それより、


「早く出かけないと!」


私は、急速に支度をし、そろそろと外へ出る。

門の外に出ると、


「おい!左議政の屋敷から娘が出てきたぞ!」


うぅぅ。

なんで見つかるの……


「みたことない娘だな……。あの末娘じゃないか?」


「あの“引きこもりの才女”!?」


「声かけてみるか?」


「いや、偉いとこの娘さんだぞ?」


「ちょっとくらい良いだろ?」


本気でやめて〜!


「あの、」


来た!

やるしかない!


「ドゴッ!」


咄嗟に周りからは見えにくい急所を突いた。

ドサっと相手が倒れる。


「おい!大丈夫か!」


もう1人いた、男の人が倒れた人に声をかける。

ここはもう演技で逃げようっと。


「大丈夫ですか?急にお倒れになられたので一応、医師に診てもらった方が良いかと……。輿を手配しておきます」


「すみません。では私はこれで」


男は黙って感嘆したかのように見つめていた。

この時代、民に気をつかう両班などそうそういないからだろうか。

これは全て、自作自演なのに。



「早く行こう」


そう呟いて、ヨンジュはまた歩き出した。










_________________

次回、8月13日投稿予定!



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