概要
「おめでとう」って、言ってほしかっただけなんだ。
わたしの名前は、なな。
小さな団地の、雨の匂いがする部屋で暮らしている。
お母さんはスマホばかり見ていて、夜になると泣きながら寝る。
お父さんは帰ってくる日と帰ってこない日がある。
わたしが何を言っても、「後にして」と言う声だけが返ってくる。
でも、大丈夫だった。
だって学校には、りおちゃんがいるから。
りおちゃんはわたしの唯一の友だちで、わたしが好きな絵本を貸してくれるし、わたしが忘れ物をしたときは「大丈夫だよ」って笑ってくれる。
あの笑顔があるから、わたしは大丈夫なんだって思っていた。
もうすぐ、わたしの誕生日。
小さなケーキが食べられるかもしれない日。
お母さんは忘れているかもしれないけど、りおちゃんが「覚えてるよ」って言ってくれた。
「誕生日、楽しみにしててね」って。
その
小さな団地の、雨の匂いがする部屋で暮らしている。
お母さんはスマホばかり見ていて、夜になると泣きながら寝る。
お父さんは帰ってくる日と帰ってこない日がある。
わたしが何を言っても、「後にして」と言う声だけが返ってくる。
でも、大丈夫だった。
だって学校には、りおちゃんがいるから。
りおちゃんはわたしの唯一の友だちで、わたしが好きな絵本を貸してくれるし、わたしが忘れ物をしたときは「大丈夫だよ」って笑ってくれる。
あの笑顔があるから、わたしは大丈夫なんだって思っていた。
もうすぐ、わたしの誕生日。
小さなケーキが食べられるかもしれない日。
お母さんは忘れているかもしれないけど、りおちゃんが「覚えてるよ」って言ってくれた。
「誕生日、楽しみにしててね」って。
その
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