第2話 二つの異変
今日、学校にリンは来なかった。
その代わり、デゥークから一本のメッセージが届いた。
『リンを拉致った。一週間後の放課後、学校の体育館裏で待っている。』
最初は冗談だと思った。
だが、親から「リンちゃんが家に帰ってないの」と聞かされた瞬間、血の気が引いた。
スマホを投げ出し、パソコンを閉じ、
俺は今すぐにできる筋トレを探して体を動かし始めた。
腕立て、腹筋、スクワット。何も考えたくなくて、ただ体を動かした。
息が切れても、吐きそうでも、やめなかった。
リンを助けるには、力が必要だからだ。
慣れない運動に全身が悲鳴を上げた。
それでも——止まれなかった。
約束の日のの3日前
腕に、うっすらと模様のようなものが浮かび上がった。
「……あれ? 汗のあと?」
最初はそう思って拭いた。だが、消えない。
そのとき、胸の奥で何かが熱を持った。
痛いほどの脈動。まるで心臓の鼓動が腕に移ったかのように。
まぁ特に気にせず、そのまま筋トレを続けた。
約束の日の一日前
いやこれ紋様だよねこれ完全に!!!えーっと、親か!親に言えばいいのか?!
その後、紋様が出たということで防衛軍に行った
「こんにちは...って、メリア
「今日は息子の紋様について話をしに来ました。夫はいますか?」
なんかめっちゃ受付の人母さんのこと見て驚いてる...それに姐って、
お母さんに防衛軍との面識があるのかを聞いてみた。すると、
「あるも何も、あなたが生まれるちょっと前までは第二隊長だったのよ?」
いやマジかよ強すぎだろ
「よう。メリアどした?」
今来たのは俺の父さんであり、第一隊長である、ラウス・アルファだ。
いつも忙しいけど今日は運よく力にいて助かった。
母さんが俺の右腕にある紋様を隠してる包帯をとるように促す
俺は包帯を外すたび、父さんの顔が明るくなっていた。
「おい...これ!!」
「え。えーっと!じゃ、じゃあここに手を置いて!!」
父さんが石板を取り出す。紋様が確認できるらしい
俺は石板に置き、ステータスを見せた。
その瞬間、父さんの瞳が見開かれた。母さんは息を呑む。
部屋の空気が震え、まるで何か古い封印が軋んだような音がした。
「とりあえず今日は帰るから...」
今日の夜、俺は2人の会話を聞いてしまった。
[英雄]が封じた魔王達の封印が解けようとしているというわけだ。
あと五年もたてば完全復活も考えられるらしい。その後俺は部屋に戻り布団に潜った
約束の日
「あら、どっか行くの?」
「うん。ちょっと散歩に...」
俺がなぜ誰にも言わなかったかって?
そりゃ言ったらだめに決まってんだろ考えろボケェ
「おぉw逃げずに来たかwwwざこ」
「あぁ……リンを返してもらう」
「いいぜ?ただし俺に勝ったらなw」
拳を握る音が、夜の校庭に響く。
風が冷たく、土の匂いが強い。
二人の間に、緊張が走った。
俺は深呼吸し、走り出した。
ジェルが構えるよりも早く、拳を突き出す。
一撃——!
ガッ!
「なっ……!?」
初めて、手応えがあった。
デゥークの頬がわずかに歪む。
血が滲む。
今まで何度殴っても避けられていたのに——
当たった。
「テメェ……調子乗ってんじゃねぇぞ!」
ジェルの周囲に炎が生まれる。
橙色の光が闇を裂き、空気が歪む。
まるで地面ごと焼き尽くそうとするような熱気。
「炎の神よ、我に力を!」
五発の炎弾が一斉に飛び出す。
俺はとっさに横へ飛ぶが、腕にかすり、服が焦げた。
熱い。痛い。でも止まらない。
「まだだ……ッ!!!」
俺は踏み込む。
拳を振り抜き、もう一撃叩き込む。
だが、デゥークの足が俺の腹を蹴り飛ばした。
「ガハッ……!」
土の上を転がる。肺の空気が抜ける。
視界が滲む。
——強い。
当たり前だ。相手は魔法使いで、俺はただの人間。
勝てるわけがない。
だけど……リンを奪ったこいつを、絶対に許せない。
俺は、また立ち上がった。
デゥークが呆れたように笑う。
「おいおい、まだ立つのかよ。
じゃあ、もう終わりにしてやる」
「——————遊びは終わりだ」
空気が爆ぜた。
デゥークの掌に炎が集まり、刀の形を取る。
「っぐ……!」
腹に炎が突き刺さる。
焼けた鉄の匂い。
痛みが脳を貫く。
でも、倒れない。
倒れたら、リンは——
「……ッ、負けない……」
その瞬間、俺の視界が白く染まった。
耳鳴りがする。
心臓の鼓動が早い。
腕の紋様が、赤黒く光り始める。
「な……なんだ、こいつ……!?」
ジェルが後ずさる。
俺の体から、熱でも冷気でもない“何か”が溢れ出ていた。
炎が俺の右腕に集まった。へぇ...自分の魔法では悪くないようになってるんだな。
さっき見たジェルの技。
俺の意識が勝手に、その詠唱を再現していた。完壁ではない。いや、むしろそれ以上だ。
「……
デゥークの目が見開かれた。
同じ形の炎の刃が、俺の手に宿る。
無詠唱。
俺は、自分が何をしているのかわからない。
ただ、本能のままに動いた。
「む、無詠唱!?そんな、ありえねぇ!!」
俺は一歩ずつ、炎の剣を握りしめて歩み寄る。
足跡のたびに地面が焦げる。
ジェルの顔に、初めて恐怖が浮かんだ。
「く、くるな……!」
「我らが火の神よ。力を貸したまえ———
火弾を乱射するデゥーク。
それを俺は——見ただけで真似た。
手を振ると、同じ炎弾が空を走る。
互いの炎がぶつかり、爆音が響く。
「な、なんなんだお前ぇぇぇ!!!」
デゥークが叫ぶ。
俺はただ無表情に、一歩、また一歩。
——気がつけば、炎刃を振り下ろしていた。
——————プツン——————
音が消えた。
視界が霞む。
熱も、痛みも、もう感じない。
——ここから、俺は何も覚えていない。
後に聞くと、俺はデゥークの体を切り刻ざみ...何回も回復をし...をとても長い時間繰り返していたようだ。拷問に等しいものだ...俺は...まるで————化け物みたいだ
はいうp主です~
今日の教訓 いじめはやめよう やったことは自分に何倍にもなって帰ってくるよ!
ちなみにジェル君はもうしばらく登場しませんw咬ませ犬ざまあw
こいつは昨日考えましたw少し第一章を長くしたかったのでw
あと俺の名前...決めてください......
小ネタ!「ジェル視点」
へへっw 最近つまんねぇから、またあいつをいじめてやろう。
——あいつ(イクス)は、どんなに殴っても反撃してこねぇ。
あの無表情がムカつくんだ。だから、今回はちょっと本気でビビらせてやる。
リンって金髪も人質にすりゃ、泣きわめくだろう。
俺はその顔が見たかった。弱い奴が必死に足掻くあの瞬間が、何よりも好きだった。
当日
「あ?本当に来やがったw」
予想外に現れたイクスを見て、俺は一瞬たじろいだが、
すぐに口角を上げた。どうせ勝てる。俺には“炎の加護”がある。
「おぉw逃げずに来たかwwwざこ」
「あぁ……リンを返してもらう」
「いいぜ? ただし俺に勝ったらなw」
俺に勝つなんて、無理に決まってんだろ——そう思ってた。
だが、奴の拳が、初めて俺に“当たった”。
重い。
思わず息が詰まる。なにこれ……!?
「炎の神よ!力を貸したまえ!」
慌てて詠唱を始める。いつもならどんなやつでもこれで終わりだ。
——なのに。
炎が消えた。
いや、奪われた……?
俺の魔力の形が、あいつの右手に吸い込まれていく。
「おい、それ……」
奴は無言で近づいてくる。
目は焦点が合っていない。まるで——“何か”に操られてるみたいだった。
足が、動かねぇ。
逃げようとしても、身体が言うことをきかねぇ。
「や、やめ——」
炎の刃が閃いた。
俺の視界が、赤と黒でぐちゃぐちゃに染まる。
悲鳴を上げようとしても声が出ない。
何度も斬られ、何度も治され、また斬られる。
痛みの果てに残ったのは、恐怖だけだった。
あいつは——人間じゃねぇ。
この後のことは思い出すだけで吐き気がする。
体を切り刻まれ、回復され、また切られて……。
拷問みたいな時間の中で、俺は初めて“死”を願った。
——あいつはいったい、何なんだ。
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