(三)

フェンスの中には梅が植えられていて、躑躅つつじ南天なんてんが植えられていて、他にもいろいろな植物が植えられているようだったが、種類はよくわからなかった。

草木が茂って、日が陰り、全体的に薄暗く感じた。


築地塀に沿って、更に道を進むと、四阿あずまやがあった。

木製のテーブルが二つあり、それぞれのテーブルの左右には、向かい合うように長椅子が設置されていた。


平日の昼間のせいか、誰もいなかった。


休憩することにして、長椅子に腰を下ろして、肩にかけていたバッグを椅子の上に置いた。


突然、今、脳裏をよぎる取り留めのないことを何かに書き記したくなった。

バッグから小型のリングノートとペンを取り出し、テーブルの上に置くと、空白のページを広げた。

ペンを持ったまま、何から書こうかと、遠くを見つめた。


四阿は日が陰り、深い木立に埋もれて薄暗い。

ごつごつとした荒れた樹皮を晒して、複雑に折れ曲がる枝を空中に這わして、梅の樹木が四阿の周囲を取り囲む。


風が吹き始める。

徐々に強くなって枝葉が揺れる。


四阿の屋根を雨が強く叩き始める。

遠くで雷鳴が聞こえる。

神経組織のような閃光が曇天を駆け抜け、一瞬のを挟んで、雷鳴が炸裂した。

一瞬にして豪雨が襲う。


蒸し暑い猛暑の夏の日。

風が吹き荒れる。

木々の枝葉が揺れる。

雷鳴が天地を突き刺す。

雨脚が更に強くなり、四阿の屋根から水滴がすだれのようにしたたり落ちる。


遠くで雷鳴がとどろき、

地面が震え、

木々の枝葉を雨が叩き、

木々の枝葉を引きちぎらんばかりに激しい風が揺さぶり続ける。


地面のあちこちに水たまりができる。

まだら状に水たまりが点在する。


近くで雷鳴が轟く。

青黒い雨雲を閃光が貫き雷鳴が炸裂する。


地面が水浸しになる。

降り続く雨、鳴り続く雷。

炸裂音が地面に激突する。

雨は降り続け、雷が鳴り続け、風は混乱して、翻弄された雨は空中で乱れ舞う。


轟音が地に突き刺さる。

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