5話 纏わりつく穢れと仮初めの幸せ
少年は虐めに耐えきれなくなって転校した。でも結局は環境が変わっても馴染んで友を作り普通の学生生活をすることはもう出来なかった。結局、周囲と馴染めずにまた不登校になった少年は家で荒れ果てた生活を送っていた。家族や物にあたり散らかして家の壁に穴をあけたり家族に手を出して怪我をさせたりした。そして全てが終わった後で少年は後悔して絶望して虚無感に襲われた。少年が暴れている時は殆ど意識がなくただ暴れ回る機械の状態で誰の声も届かないし止めることも出来ない。そして暴走が止まるのは機械と同じく電源が切れたように疲れ果てて力を使い切った時だった。壊して怪我をさせた事実を受け入れた瞬間に自身がやってしまった事の重大さに気づきそれが重責となりそれと同時に壊れたものなどをみて深い虚無感に襲われる。そして更に悪いことは続いた。以前の学校から付き合いがあった体育教師がわいせつ行為をして警察に捕まったのだ。それだけで精神は不安定になり不登校は悪化した。そして夏休み前に最悪な出来事が起こった。少年の副担任が学校にも行かないような穀潰しには食事を出さなくていいと母親に提案して母親もそれを実行してしまったのだ。結果としては食事が出ないから力が出ず学校に行けず学校に行けないから食事が出ないという負のループが完成してしまった。最悪の環境の中、更に不幸は続いた。父親から寝ているところを無理やり起こされて長時間の説教を行われて挙句の果てには暴れてもいないのに倒されて首を絞められた。少年は遂に父親と母親、両方を憎み怨むことしか出来なくなった。他人の言いなりになって食事を出さなかった母親、暴れてもいないのに首を絞めて暴言を吐く父親。世界全てが敵に見えた。それから季節は流れて春になり高校受験も考えていた頃に後輩が授業中に泣いているのをみて放っておくことが出来なかった少年は授業が終わるとすぐに声を掛けて事情を聞いた。曰く同じクラスの人間と揉めて感情のコントロールが効かなくなり泣いてしまったのだと言う。少年は何処か自分と似たものを感じて後輩と2人で下校することが多くなった。それからは後輩達が少年の周りにいつのまにか出来ていて漸く仮初めの幸せを手に入れた少年は中学校を卒業した。その後の高校生活では風紀委員会に入って順風満帆な学生生活を送りながら少年の学生生活は終わりを告げた。
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