第21話:スタジオの日常、音の交差点
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@RhythmGarden_Official 2025/08/15 15:00:00 JST
#RhythmGarden #音楽の場
今日もたくさんのバンドがリズムガーデンで練習予定。
様々な音、様々なドラマが生まれるだろう。
オーナーも冷静沈着に見守ります。
@DeathVoice_Band_Official 2025/08/15 15:30:00 JST
#アンプの危機 #デスボイスバンド
やべぇ、俺たちのアンプから変なノイズが…!
このままだとデスボイスが出せない!
オーナーさん、助けてくれ!
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リズムガーデンのロビーは、
週末の午後の賑わいに包まれていた。
コーヒーの香りに、
練習後の熱気が混じり合う。
今日も様々なバンドが
スタジオの予約を入れている。
怜は受付で、
淡々と事務作業をこなしていた。
その耳には、
スタジオから漏れ聞こえる
無数の音が届いている。
それは、彼女の日常の背景音だ。
【インディーズバンドの珍トラブル】
ロビーの隅で、
個性的なインディーズバンドがたむろしていた。
「デスボイスが枯れ声バンド」。
ボーカルは、
確かにデスボイスが特徴のはずだが、
いつも練習中は声が枯れている。
彼らのアンプから、
キィィィィィン、という耳障りなノイズが響き、
メンバーは顔を見合わせて困り果てていた。
「やべぇ、またアンプの調子がおかしいぜ…」
ボーカルの顔には、
絶望の色が浮かんでいる。
バンドメンバーが困り果てていると、
眼鏡をかけた怜が、
ブラックコーヒーを片手に、
その傍らを通り過ぎる。
彼女の足音は、
静かで、ほとんど音を立てない。
怜は彼らを見下ろすように一瞥した。
その瞳は、
アンプの配線を一瞬で捉える。
「配線が逆だ」
すれ違いざまに一言。
その声は、静かだが、
まるで雷鳴のように
バンドメンバーの耳に響いた。
彼らは驚いて慌ててアンプの配線を直すと、
ノイズはピタリと止まり、
クリアな音がスピーカーから正常に鳴り響いた。
バンドメンバーは感心しきりだった。
彼らの顔には、
感動と驚愕が混じり合う。
「すげぇ…」
「やっぱオーナーさん、只者じゃねぇな…」
(この程度のトラブルも解決できないとは、
まだまだだな。
音の根源を知らなければ、
真の音は生み出せない。)
バンドメンバーは怜に深々と頭を下げる。
怜は「やれやれ」と小さく呟き、
肩をすくめて、再び受付へと戻っていった。
【オーナーの的確な助言】
リズムガーデンのカフェスペースでは、
他のバンドが、怜にアドバイスを求めてくる。
「怜さん、このフレーズどう思います?」
迷いを抱えたギタリストが、
譜面を差し出す。
「最近、集客伸びなくて…」
悩めるボーカリストが、
沈んだ声で語りかける。
怜は眼鏡をかけたまま、
一瞬で彼らの演奏や状況を分析する。
まるで、音の魂を
見通しているかのようだ。
「お前たち、音ばかり気にして、客の顔を見てないだろう」
時には鋭い指摘で一喝することもあった。
その言葉は、
彼らの心臓を鷲掴みにするかのようだ。
バンドメンバーは怜の言葉にハッと気づき、
感心しきりだった。
その瞳には、
新たな光が宿る。
彼らは怜の助言を元に、
自分たちの課題に向き合い始める。
(音に、過去の自分を重ねる。
放っておけない。
かつての私のように、
迷いの中にいるのか。
彼らの苦悩は、私がかつて味わった、
孤独な道程を思い出させる。
しかし、彼らには仲間がいる。
そして、私という存在がいる。)
怜は、彼らの成長を静かに見守る。
(群衆、音楽の営み、か。
ここに、私の居場所があるのか。)
温かいコーヒーの香りが、
怜の心を微かに揺らす。
それは、かつて失ったはずの、
心の拠り所を見つけたような感覚だった。
【スタジオの音の交差点】
リズムガーデンでは、
今日も様々なバンドが練習に励んでいる。
スタジオのドアの隙間から、
ハードロックの轟音。
ポップスの軽快なメロディ。
ジャズの即興演奏。
多様なジャンルの音が混じり合い、
スタジオ全体が音楽の交差点となっている。
怜は受付で、
それらの音を静かに聞きながら事務作業をしている。
その音は、
怜の心を刺激し、
彼女の指先を微かに動かす。
時に、怜がヘッドホンを外して、
特定のバンドの音に耳を傾けることがある。
彼女の表情には、
音楽への深い洞察と、静かな喜びが浮かんでいる。
それは、まるで、
新たな生命の息吹を感じ取るような顔だった。
(この場所が、私の居場所だ。音と共に。
かつて失った場所を、ここで見つけた。
ここは、私の全てだ。)
怜はコーヒーを飲み干し、
カップを置いた。
カチャリ、と微かな音が響く。
(やれやれ。いつもの光景だ。)
このリズムガーデンが、
多くのミュージシャンにとって
かけがえのない存在であることが示唆される。
そして、怜自身にとっても、
かけがえのない場所となっていた。
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@RhythmGarden_Official 2025/08/15 18:00:00 JST
#RhythmGarden #音楽の場 #日々是精進
今日もたくさんのバンドがリズムガーデンで練習中。
様々な音、様々なドラマが生まれている。
オーナーは今日も冷静沈着に見守っています。
@DeathVoice_Band_Official 2025/08/15 18:30:00 JST
#アンプの奇跡 #オーナー様様 #デスボイスの危機
マジで感謝!アンプの調子悪かったんだけど、
オーナーさんが一言で直してくれた!
やっぱプロは違うわ…!
これでまたデスボイス出し放題だぜ!
@RhythmGarden_Ray 2025/08/15 19:00:00 JST
#群衆 #音楽の営み #観察
やれやれ。
いつもの光景だ。
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【次回予告】
神崎 晶:「神楽坂怜氏…あなたの音を、もう一度」
鳴海 律架:「オーナーさんとセッション!?」
怜:「……(無言でスティックを握る)」
次話 第22話:プロの交錯、響く魂のセッション
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