末日①
『森本 佑太さま
お手紙ありがとうございます。
白峰湊です。
送っていただいたお手紙を読ませていただきました。
急に私からのお手紙が来たこと、さぞ驚かれたことでしょう。
本当はお返事を書くつもりはなかったのですが、あなたから届いたたくさんのお手紙を読む中で、あなたに与えてしまった影響、そしてこれからのあなたのことを考えると、あなたには私の口から真実をお伝えするべきだと感じ、筆を執った次第です。
森本さんが私の作品を読んで心救われ、希望を抱いていてくれたこと、心から嬉しく思います。
私が物語を書き始めたのはまさにそうした、誰かの心の支えになってほしいという思いからであることに嘘偽りはありません。
しかし、また、私の作品があなたの心の枷になってしまっていたことを本当に寂しく思います。
マスターや安田さん、浅井さんともお会いしたのですね。
彼らから話を聞き、あなたが知り得た私と千景の関係は歪なものに見えたでしょう。
だが、それが私たちの正しい形だったのです。
私は作品のために千景を求め、千景もまたそれに応えることを喜びとしていた。
ただ、それだけのことなのです。
あなたが私の足跡をたどって私のもとにたどり着いたとき、その答えが求めていたものではなかったことに、ひどく失望したでしょう。
ですが、それが答えであり、現実なのです。
何を信じ、何を求めるのか。
それを選ぶのはあなた自身であり、私からあなたにしてあげられることは、一つの例を見せてあげること。それだけなのです。
私の示した道はあなたにとってどのように映りましたでしょうか。
白峰湊』
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