「攻撃されたら俺の勝ち!」悪役転生特典でスキルポイント9999を【カウンター】に極振り→あらゆる攻撃を跳ね返すチートスキルに超進化したので、反射無双します。

六志麻あさ@死亡ルート確定2~発売中!

1 カマセ悪役に転生


 気が付くと、異世界にいた。


「どこだ、ここ――」


 俺は古めかしい街の中に立っている。


 周囲を見渡せば、石造りの城壁や尖塔が見えた。


 そして、手元には……剣。


「……えっ?」


 そう、俺が握っているのは、まるでゲームやアニメで見るような銀色の長剣だった。


 装飾が施された鞘、そして革の感触が妙にリアルだ。


 いやいや、待て。これはまさか……。


「異世界転生……!?」


 そんなバカな。


 でも、目の前の光景は紛れもなく『異世界』だ。


「しかも、この光景――見覚えがあるぞ」


 そうだ! 俺が前世で遊んでいたファンタジーRPG【ブレイブブレードサーガ】――通称【ブレブレ】の風景にそっくりなんだ!


 と、そこで俺は足元の水たまりに自分の顔が映っていることに気づいた。


 その顔を見た瞬間、全身に戦慄が走った。


「えええええええええええええええっ!? この顔――ジルダ・リアクトじゃないか!?」


 もう間違いない。


 俺は『ゲームに出てくるカマセ役の悪役剣士』に転生したようだ。




 ジルダは登場してすぐに勇者ゼオルにあっさりと負ける、まさに『かませ役』の敵キャラだ。


 俺が知っているゲーム本編の流れはこうだった。


・ジルダ・リアクトは、王都の決闘場で勇者ゼオルに挑む。


・イキって強者ぶるが、ゼオルに瞬殺される。


 おしまい。


「……すぐ死ぬんだよな、ジルダって」


 そのイキり方があまりにも小物っぽい上に、清々しいまでの瞬殺で死んじゃうから、一部のコアなファンからは人気があるが……。


 もしこの世界がゲームと同じ流れをたどるなら、俺は確実に死ぬ!


 考えたとたん、全身から冷や汗が吹き出した。


 冷静になれ、落ち着け……!


「まずい、まずい……っ!」


 とにかく状況を整理しろ。


 俺は転生した。


 しかも、ゲーム本編では主人公の前座にすらならないかませ犬の悪役剣士。


 そして主人公に敗れ、すぐ死ぬ。


「ええと、俺が死ぬ予定の決闘って……いつだっけ?」


 記憶を探り、正確な情報を思い出す。


 ……といっても、今がゲーム本編におけるいつなのかが分からない。


 いや、待てよ――。


 俺は記憶を探ってみた。


 すると、ぼんやりと……映画を見るように、ジルダが今まで体験してきた人生の出来事が脳裏に浮かび上がる。


 これは――『元のジルダ』の記憶、なのか?


 貧しい農民の子として生まれ、王立騎士団の試験を受けて合格。


 そして厳しい訓練を受けながら、中級騎士に昇格。


 ……けっこう頑張って今の地位にたどり着いたんだな、こいつ。


 別に悪人の人生って感じじゃない。


 ただゲーム内だと、新米騎士として騎士団に入ってきた主人公のゼオルに対して『生意気だ! 厳しくしごいてやるから覚悟しろ!』とイキる先輩として登場するんだけれど。


 そして、剣の訓練でゼオルに敗れ、激高してさらに襲い掛かったところを返り討ちにあって死亡。


「……ってことは、ゼオルが騎士団に入団して、ちょっとしてから死亡イベントになるわけだ」


 と、そこで俺は気づいた。


「――って、もうゼオルは入団してるじゃないか!」


 ゲーム本編だと、確かジルダ瞬殺イベントはゼオルが騎士団に入団してちょうど二か月が経った頃の話だった。


 ジルダの記憶だと今年の新米騎士が入って来てから、ちょうど一か月が経っている。


 つまり――。


「死亡イベントまで、あと一カ月しかない!」


 いやいや無理だろ。


 たった一か月で主人公に勝てるくらいに強くなるなんて。


「あ、でも俺がゼオルに『生意気だ』ってイキったり、剣の訓練の後、さらに襲い掛からなければいいだけだよな」


 なら、簡単だ。


 ――とはいかない。


 いわゆる『歴史の修正力』みたいなものが、この世界にあるかもしれない。


 俺がゼオルと戦いたくなくても、その力によって無理矢理ゲームと同じ展開になってしまうことはあり得る。


「それなら……やっぱり強くならないとな」


 よし、覚悟完了。


 最終的に死亡イベントがどんなふうに俺に訪れるかは分からない。


 けれど――だからこそ、俺にできるのは己を鍛えることだけだ。


 そのために、まず現在のジルダの能力を把握しておきたい。


 ゲームならステータスを確認することで、そのキャラの強さがすぐに分かるけれど――。


「ステータスオープン」


 定番の台詞を言ってみた。


 まあ、一度言ってみたかった、という理由もあるが。


 ばしゅんっ!


 すると、俺の目の前にゲームのウィンドウみたいなものが出現した。


「本当に出た!」


 俺、興奮。


 表示されているのは、ジルダのステータスで間違いなさそうだ。


 名前の欄に『ジルダ・リアクト』とあるし、HPやMPなどの各種数字が載っている。


「――って、えええええっ!?」


 俺はある数字に気づいて驚愕した。




【ジルダ・リアクト】


 種族:人間


 職業:剣士(中級)


 レベル:10


 HP:1240


 MP:240


 STR(筋力):198


 VIT(耐久):174


 AGI(敏捷):176


 DEX(器用):155


 MAG(魔力):100


 LUK(運):112


 スキル:【斬る】【突く】【火球】【カウンター】


 スキルポイント:9999




「最後の数字~~~っ!?」


 これって、もしかして――。


 前世の俺は、このゲームをやりこんでいた。


 すべてのスキルをカンストさせ、もう成長させようがない状態でも、ゲームの仕様上スキルポイントは貯まっていくため、そのスキルポイントまでもがカンストして9999になっていた。


「まさか、スキルポイントは前世のプレイ結果が俺のステータスに反映されてるのか……?」


 いわゆる転生者特典みたいなやつなのか、なんなのか。


 理由は分からないけど、これは俺にとって大きな――大きすぎるアドバンテージだ。


 存分に活かすとしよう。


「よし、この数値を何に振り分けるか、だな」


 剣技最強?


 魔法最強?


 あるいはパワーやスピード、あるいは魔力に振るか――?


 だが、俺は一つの戦法を閃いた。


 半ば気まぐれ、半ば本能。


 それは――。


「俺は【カウンター】のスキルにポイントを全振りする!」





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敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。

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