第2話

第二章 二つの可能性


翌日、昼休みの職員室。


「昨日、川島先生を飲みに誘ってみたんです」


「どうでした?」


「……複雑です。可能性は二つあります」


宮沢は思わせぶりに語り始める。


「①川島先生があなたに好意を持っている場合。その時はダブルデートを仕掛けましょう。僕も井上先生を誘えます」


「おお、完璧な戦略ですね!」


「でも②の可能性もあるんです。……川島先生が、僕に好意を持っている場合」


「えっ?」


「“林田先生ってカッコいいですね”って言いつつ、僕の腕にさりげなく触れてきたんですよね。どっちなのか……分かりません」


林田の表情に焦りが浮かんだ。


「宮沢先生の方が……やっぱ有利ですよね……」


---


第三章 差出人不明のラブレター


数日後の夕方。黒木主任が宮沢に声をかけてきた。


「宮沢先生、川島先生の机に差出人不明のラブレターが置かれていたそうです」


「え?」


「“明後日の夜、図書室で待っています”と書いてあったとか。しかも、使われていたクリップが……あなたのと似てたのよねぇ」


背後で林田の顔が引きつる。宮沢は心の中で呟いた。


(まさか……林田、お前が?)


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第四章 女たちの夜


その夜、ファミレスで川島と井上が向かい合っていた。


「英子、最近、宮沢先生って私のこと気にしてるのかな?」


「……どうして?」


「よく話しかけてくるし、飲みにも誘われたし……あと、こんな手紙もらったの」


川島は恥ずかしそうに紙を見せた。


「図書室の夜……?怖くないの?」


「宮沢先生なら大丈夫かなって。でも、ちょっと不安……」


井上の顔が曇った。実は彼女にも、宮沢から何度かアプローチがあったのだ。

そして、それとは別の忘れられない出来事も――


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