勿忘草。
波羽 紗羅
第1話
公園の片隅にある花壇の端っこで、
勿忘草は、そよ風に吹かれていた。
あなたを忘れないよといっているかのように。
覚悟を決めて電話しようと思うけど、
それでも尚、あたしは迷う。
もう一度会いたい。。。
あなたの声が聞きたい。
いつの日か話した公園で、
ブランコに座って考える。
私はあなたから離れよう。
そう考えて。
でもね。
あたしを忘れないで欲しい。
わがままなあたし?
それさえも許してもらえない?
そのブランコの向こうに揺れるのは、
空色の勿忘草。
花言葉を教えてくれたあの人を
あたしは忘れられるの?
忘れなきゃいけない。
なんで、類じゃないんだろう。
それは、優しさを知ってしまったから。
あなたの優しさと気遣いに、見守って
貰ったから。
今私は、ここにいる。
最後に声が聞きたい。
でも、それはしちゃいけないんじゃないか。
私の指は、携帯の画面をさまよい歩く。
花言葉を教えてくれたあの人を
あたしは忘れられるの?
忘れなきゃ。
あの人の隣で微笑む、キレイな女性を
見てしまったから。
あたしなんてそばにいたら、
邪魔になってしまったらいけない。
そんな風に思うのは、おごりかも
しれないけれど。
あなたのそばにいたいけれど。
みんなのそばにいたいけれど、
あたしは一人、逃げてみせよう。
気づかれないように。
少しずつ。
大学には、編入届けを出して。
書類選考で、行く先の京都の大学に
編入が決まった。
家族にも誰にも知られずに。
金曜日の朝、荷物を送り出し。
あたしは、普通どうりに授業にでて。
そして、お昼の新幹線に乗った。
あたしを誰も知らない街。
でも、和に携わっていたかった。
だから、京の街に決めた。
京都に着くと、不動産屋へ行き、
鍵を貰って部屋に荷物を置いて。
大学へ行き、編入手続きを済ませた。
家は大学から歩いて10分。
年季が入ってるけど、十分なアパートが
借りられた。
10分の間にあった、ファミレスでも
バイトも決まり一安心。
さあ、新しい生活が始まる.......。
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