第12話
「大丈夫ですか?」
三人を見送って放心していたルイーゼは、オリヴァーがそっと肩を叩かれてハッとした。
もう終わったのだ。すべて。
「もう大丈夫です。オリヴァー様のアドバイスのおかげです。本当に魔法をうまく使えました」
「そのようですね」
家族と会う前にオリヴァーに耳打ちされていた内容が、ルイーゼを助けてくれたのだ。
『いざとなったら魔法を使うのです。魔法はイメージさえ出来れば何でも出来るはず。ルイーゼなら大丈夫です』
その言葉通り、アニーの魔法を跳ね返すイメージをしたら本当に跳ね返すことが出来た。
魔法を操るのがこんなにも簡単だとは思わなかった。
ルイーゼがそう言うと、オリヴァーは微笑んだ。
「ルイーゼの魔力は医師が驚くほど強いですからね。心配はしていませんでした。ただ……ルイーゼは優しすぎます。僕はもう少しであの三人をどうにかしてしまいそうでした」
オリヴァーが静かにこぶしを握っている。三人を思い出したようで、目もすわっている。
ルイーゼはそれを見てなんだか可笑しくなってしまった。
「怒っているオリヴァー様はちょっと……いえ、かなり怖かったです」
「おや、僕のことが嫌になりましたか?」
「いいえ」
ルイーゼはきっぱりと否定した。そんなこと、あるはずがない。
「オリヴァー様には感謝しかありません。私が一歩踏み出せたのも、オリヴァー様のおかげなのですから。生きていく自信がつきました」
「それでは……僕はお役御免ですか?」
「え?」
質問の意図が分からずにキョトンとしていると、オリヴァーは少し苦笑した。
「すみません。意地悪な質問でした。貴女がどんどん遠くに行ってしまう気がして……。まだ僕と結婚してくれる気はありますか?」
少し目を伏せたオリヴァーは、寂しげにみえた。ルイーゼはあわてて大きく頷く。
「も、もちろんですっ!」
「ふふっ、良かった。僕との結婚はもう必要ないと言われるのかと」
「そんなっ……! 結婚、したいと、……思っております……」
勢いで言いかけたものの、とんでもない発言だと気づいて声が小さくなる。
(オリヴァー様って侯爵家の方なのよね? こんな私なんかと結婚したらダメなんじゃ……。私、家族と縁を切ったらただの平民なのだし)
うつむいていると、ふいにオリヴァーに抱き寄せられた。
「もしかして照れていますか? 可愛らしいですね」
「ち、違います! あの、私では……オリヴァー様相応しくないです。貴族のマナーとか教養とか無いですし……ちゃんとした教育も受けていません」
「そんなものは今からでも身につきます。必要なら家庭教師をつけましょう。さて、他に断る理由はありますか? 僕はもう貴女を離す気はありませんから」
そのままオリヴァーはルイーゼにそっと口づけをした。
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