追放された錬金術師、実は最強スキルで村を建国してハーレム無双

Novaria

【第1話】追放された俺と、村のはじまり

「すまない、レイ。君はもうパーティから外れてくれ」


冒険者ギルドの一室に、その冷たい声が響いた。


俺の名前はレイ・フォルティア。所属していたCランク冒険者パーティ【蒼き剣】から、まさかの追放宣言を受けていた。


「……理由を、聞いても?」


「戦えないからだ」


リーダーのディランはきっぱりとそう言った。彼は剣士であり、実力もあり、ギルドの信用も厚い。そんな男の口から出たその一言は、俺の胸に深く突き刺さった。


「君は錬金術師だ。回復も攻撃もできない。素材集めや罠作りは役に立ったが、今のパーティには不要だ」


淡々とした言葉の奥には、俺に対する情けも怒りもない。ただ“切り捨て”という判断だけがあった。


俺は言葉を失ったまま、ギルドを後にした。


──そして、追放された俺には、行くあても、帰る場所もなかった。


◆ ◆ ◆


数日後、俺は森の奥で見つけた古びた看板の前に立っていた。


《アトリエ村 →》


地図にも載っていない、忘れ去られたようなその村の名に、俺は心を惹かれた。


「……とりあえず、行ってみるか」


そう呟いて歩き出す。


そこが、俺の新しい物語のはじまりだとも知らずに。


◆ ◆ ◆


アトリエ村は、想像以上に荒れていた。


崩れかけた家々。干からびた畑。雑草に覆われた道。まるで、人のぬくもりがすっかり消えてしまったような場所だった。


「……誰もいない、のか?」


返事はない。ただ、風に揺れる木の葉の音だけが静かに響いていた。


それでも俺は、そこに“可能性”を見た。


「ここなら、やり直せるかもしれない」


俺は荷物を下ろし、最も状態の良さそうな家を選び、拠点にすることにした。


まずは井戸を掘り返し、水の確保。次に、倒壊しかけた壁を補修し、屋根を仮設。食糧の確保には、森のキノコや薬草を採取した。


錬金術師としての知識と技術を、今こそ活かす時だった。


「戦えなくても……俺には、作る力がある」


それが、今の俺に残された唯一の武器だった。


◆ ◆ ◆


夜、焚き火の光が小さく揺れる。


「……このまま、ここで暮らしていけたらいいな」


ぽつりと呟いたその時。


風に乗って、微かに声が聞こえた。


──たすけて……


俺は耳を澄ます。


「……誰か、いるのか?」


声の方へ足を向ける。井戸の近くで、何かが倒れているのが見えた。


「おい、大丈夫か!?」


近づくと、それは――小さな羽を持った、少女だった。


傷だらけで、気を失っている妖精族の少女。


「なんでこんな場所に……!」


俺は咄嗟に背負い、仮設の家まで運び込んだ。


この出会いが、俺と村の運命を、大きく動かすことになる。


──それが、フィリアとの出会いだった。

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