連作短歌 生まれる

プラリネ

生まれる

降り積もるゆき降り積もるふうわりと

気づいた時には重い足取り


根魚になった夢見た午前二時

今日の扉がいっとう遠い


二重窓隙間からくる梅の香は

雪解け水の明度を宿す


主なき庭の切られた草木と

そこに静かに咲く福寿草


透明な象牙みあげて枯鉢は

赤い芽出すか思案している


ムスカリの細長い葉のたくましさ

泥と水とをたらふく食べて


ひなはみな知っているのか

その殻の膜の向こうのあかるい気配


歩き出すスニーカーにつく春泥も

いつか描くや枯山水を


やわらかな雲すり抜けて

水田にはしるきらめきうまれるところ


夕立は許しているさ

ひともまた急になみだを流していいと




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連作短歌 生まれる プラリネ @3unny

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