紡10
ねね、先生!今日テスト返却あってね!ほら見て!!先生が教えてくれたおかげで、今回もほとんど100点だったの!だいたい100点と、90点以上!!
『あら、よかったじゃない。でも、私はただ教えただけだから、成績を維持しようと、自分でしっかり勉強したからだよ。努力のおかげ』
でも!先生がその勉強のやり方を教えてくれたんだから、やっぱり先生のおかげだよ!!
『ふふ…………英語は?』
あ、えっと…………まあでも、今回は高かったから!………っと、ほら、67!!
『ほんと?今までで一番高いじゃない!おめでとう、つむちゃん。でもなんで最初からそれを言ってくれなかったの?』
えー、だってぇ…やっぱりほかのがしっかり高得点なのに、67点ってなるとちょっとさ……まあ、確かにあたしからしたらめっっちゃ高いんだけどね…?
『…………誰かに何か言われたの?』
うーん、やっぱり先生にはわかっちゃうよね…………。クラスメイトの子にね、『あんた、英語だけはいつも低いよね~』って。別にそんなに仲いいわけじゃないのにそんなこというんだ、ってさ……
『その子はどのくらい勉強できる子なの?』
あたしが言うのもなんだけど、ぜんっぜんだよ。だからそれなのになんか言われて、ちょっとよくわかんない感じになっちゃった。
『そうね、”そんなやつ、言わせておけ”なんていうのは簡単だけど、つむちゃんは言われて、傷ついたんだよね』
まあ、傷ついたってのかはわかんないけどさ。なんか、あの発言が、”勉強だけできてつまらないヤツ”とか”こいつにも弱点があるんだ~”とか、そんな感じに言われてるように感じちゃって…………
学校の先生も、”次は、期待してるぞ”とかって…………
『つむちゃんは、どう言われたかった?』
うーん………わかんない。
『じゃあ、私が当ててみるね…………つむちゃんはたぶん、”がんばったね、えらいね”っていわれたかったんだよ。どう?』
どう?っていわれても…………あ、でも確かに。
『そう、出会ったばかりのころにね、つむちゃん言ってたよ。”自分は頑張ってるのに”ってことを』
あっ…………
『つむちゃんは、確かにすごく頭が良くて賢くて、学校のテストなんていつも100点ばっかり。最初はきっと、まわりのみんなは”すごいね”って言ってくれるの。でも、そのうち”今回もどうせ100点なんでしょ?”ってなってくるの。100点が、高い点数が当たり前になってくると、少しでも点が落ちたら”今回は良くなかったね”、”いつもは100点取ってるのに…”って。まわりは特に深い意味はなく言ってるのかもしれないけど、本人にとっては、きっと、ちゃんと頑張った結果を、何も知らない人にそう言われてる、ってなっちゃうの』
…………そっか。
『たぶんみんなはつむちゃんに”期待してる”ってことだと思うの。でも、期待に少しでも応えられなかったら、その”期待する気持ち”が”失望”に変わっちゃうのかもね。クラスメイトも、学校の先生も』
うん…………。
『…………きっと、つむちゃんのご両親も、そういう気持ちがあったのかもね』
それはっ!…………でも、あの人たちは…………
『うん。わかってるよ、大丈夫。みんなが、つむちゃんの頑張りを理解してくれなくても、私は理解してる。ちゃんと言ってあげれる。”よく頑張ったね”って』
先生……あたし…………
『ごほうびは、なにがいいかな♪』
えへへ、先生だけだよ、ほんとのあたしをわかってくれるのは。みんな、どうしたらあたしをちゃんとわかってくれるんだろう…………みんな、”天才は良いよな、特に頑張りもせずに成績が良くて”なんて思ってる………だからあたしは、”ほんとにがんばってるのかな?”って思っちゃうから………
『大丈夫、大丈夫だよ、つむちゃん。つむちゃんは、ちゃーんと頑張ってるから。私がその頑張りをしっかり見てるから』
えへへ……うん、そっか!
『どう?元気でた?』
うん!!…………やっぱり、先生だけが、ほんとに”先生”なんだって。
『うん?どういうこと?』
やー、内緒♪
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