水を汲むのだ

毎日数回プラスチックのコップに山盛りの氷の入ったお水と温かいお茶を届けてもらえる。

部屋は暑いし、微熱が続いているし、少し動くと汗だくなのでとにかく喉が渇く。

たくさん処方いただいてる薬を飲む時にコップ一杯は必要だからお水の方は薬の時間まで手を付けるわけにはいかない。

となるとお茶をちびちびするしかなくてとても足りない。


彼女との入院のおかげで水のペットボトルの偉大さは知っていたから持ち込んで大正解だった。

手に力が入らなくて蓋は開けられないからちゃんとワンタッチでパカッと開いてストローで飲める蓋も持ってきた。これはほんとに発明した人に感謝したい。

出産のときも子供が小さい時もとてもとても助けられている素晴らしい商品だ。


水は飲めばなくなる。

昨日のお風呂のおかげで一人でウロウロする許可をもらえたから部屋から30mくらいのところにある給湯器まで水を汲みに行くことにした。

彼女の入院のときは院内感染が怖くて近寄れなかったけど、ここは同じ呼吸器の症状の人しかいないし、そもそも自分で給水器まで行ける患者さんは少ないみたいだし。

スペシャリストなスタッフさんたちが常に衛生管理を行っていていつもどこもかしこも常にピカピカだから安心できた。


体重と筋肉が落ちているので歩くのはフガフガして少しwizのカカシみたいになりそうになるけど、貴重な“ウロウロする許可”を維持するために努めてスッスと歩いた。

給水器のスイッチを押して紙コップに水が貯まるのを待つ。

貯まる間立ってられないからしゃがむ。

溜まったら持ち上げて隣のシンクでペットボトルへ移す。

一回ではペットボトルの三分の一くらいしか汲めないからこれを3回。

どんどん息が上がる。

しゃがんで立つのがこんなに負荷のかかる運動だったとは。

ペットボトルは満タンにして、使った紙コップに温かいお茶も追加して、また努めてスッスと部屋に戻った。


もうハァハァでポカポカだ。

水汲みは強めなウォーミングアップだとわかった。

こんな時用の呼吸法はリハビリで教えてもらっていたし、咳は出なかったからちょっと安心した。

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