上半身がしんどい。

すっかり筋肉はなくなりつつあるし、すぐに疲れてしまうけど脚は元気だ。

彼女の弟を産んだときは帝王切開だったから“下半身を動かせない”というのは体験済みだけど、“上半身を動かせない”というのもなかなかだ。

帝王切開の麻酔とは違うから正確には動かせるんだけど、なにせ呼吸をすると肺が痛い。

チクチクするマキビシみたいのは小さくなってきた気がするけど、小さい分隅々にまでいる気がする。吸うときより吐く時にチクチクしてくる。

あとは副作用で重々な腕だ。

腕を持ち上げるのが重たいしだるいし動かしたあとはもうレントゲンのときに載せてもらう鉛のシートが乗ってるみたいにズシンと重い。

スマホがこんなに重たいとは。

リングを付けててよかった。プランプランぶら下げて眺めることは出来る。

勝手に手がまるまろうとするから中指にリングを掛けて手の甲にスマホを載せて眺めている。手のひらを開いて腕時計を見ているみたいな謎のポーズだ。持てても数分だけど。

というわけで今は上半身が泥みたいに沈んでいる。このままダラダラ全身沈んでいるのも楽だけどステロイドさまによる筋肉分解があるからこのままダラダラしていると歩けなくなってしまう。

幸い下半身は動くから、リハビリのときに寝たまま出来る運動や体操を教えてもらった。

疲れすぎない程度にパタパタとベッドの上で脚の運動をしている。

同室のお上品なおばちゃまに変に思われてないかだけ気にしている。

半分寝たきりでリハビリが辛そうなおばちゃまに「このお部屋は退院に向けて頑張るお部屋なのよ」と看護師さんが説明していたから退院にむけてリハビリを頑張っている“若者”にみえていたらいいな。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい