ねどこ
病院のベッドはすごい。
なにせあのパラマウントなベッドなのだ。一定の世代の人はメロディ付きで読めるはず。
自宅では夜通し見守るべき存在がいたので熟睡しないようにフローリングにペタペタの布団もどきで寝ていたし、旦那さんの意向で背もたれのあるものは子供の勉強用の椅子以外はない。つまりは自分には充てがわれていない。
常にフローリングに直に正座をしていた。
座布団を敷かないのは掃除まで手が回らないのと邪魔だったから。
脚の正座だこと痣は勲章なんだ。たぶん。
それとくらべてこのパラマウントなベッドといったら!
堅すぎずフカフカだし、リモコンをいじるだけでリクライニングはするし、膝だって持ち上げてくれ、高さまで変えられる。
世の中にこんな素晴らしいものがあったのか。
両親が寝たきりになったらパラマウントなベッド以外はあり得ないと心に決めた。経済力はないから頭にメモをしておくだけだけど。
泥のような身体を受け止めてもらって、自力では座れない姿勢を支えてもらってこんなに心強く癒やされる存在はない。
すっかりトイレ以外はここから動かなくていいやと自堕落な人間が完成してしまった。トイレもめんどくさいレベルだ。
なんと罪深い存在だろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます