ねどこ

病院のベッドはすごい。

なにせあのパラマウントなベッドなのだ。一定の世代の人はメロディ付きで読めるはず。

自宅では夜通し見守るべき存在がいたので熟睡しないようにフローリングにペタペタの布団もどきで寝ていたし、旦那さんの意向で背もたれのあるものは子供の勉強用の椅子以外はない。つまりは自分には充てがわれていない。

常にフローリングに直に正座をしていた。

座布団を敷かないのは掃除まで手が回らないのと邪魔だったから。

脚の正座だこと痣は勲章なんだ。たぶん。


それとくらべてこのパラマウントなベッドといったら!

堅すぎずフカフカだし、リモコンをいじるだけでリクライニングはするし、膝だって持ち上げてくれ、高さまで変えられる。

世の中にこんな素晴らしいものがあったのか。

両親が寝たきりになったらパラマウントなベッド以外はあり得ないと心に決めた。経済力はないから頭にメモをしておくだけだけど。


泥のような身体を受け止めてもらって、自力では座れない姿勢を支えてもらってこんなに心強く癒やされる存在はない。

すっかりトイレ以外はここから動かなくていいやと自堕落な人間が完成してしまった。トイレもめんどくさいレベルだ。

なんと罪深い存在だろうか。

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