伝えたかった事
@katakurayuuki
伝えたかった事
だいぶ人工の臭いがなくなってきた。
人は大きな選択をし、大きな失敗をし、そしてそんな世界でもおお金持ちがいる。ちなみに俺ではない。
人の手が入らなければ自然に飲み込まれていくというのがこの一本の道で分かるというもの。道の両側から雑草が生い茂り、道路を覆うように伸び始めている。
まっすぐ走っているだけなのにすれ違う車が一つもない。そんなところを行かなくてはいけない自分の仕事にがっかりする。
ビーー!!ビーー!!
「もう限界かよ。」
俺は車をゆっくり止めるとうるさい警報器を止めた。
そして車の後ろに回って積んであるスーツをセットしてみる。
全身を覆うビニールの魔人だな。
ここから先はこれを着ていかなくちゃいけない。しかも問題はトイレ休憩が出来ないからオムツを履かなくちゃいけないことだ。
オムツはいい。それはしょうがない。このースーツを脱いでこの先を行ったら俺は死んでしまうからだ。
はぁー。
おれは深くため息をして、おむつをはき、防護スーツを着て、場所を示すデバイスを持ち、そして仕事道具が入った袋を持ち、出発することにした。
そこまで歩きずらくはない。長靴をはいてるみたいだ。機械の補助器具もあるからそれほど重くもない。ただ、圧迫感だけはある。早く脱いで深呼吸をしたい。まぁそれは仕事を終えてからじゃないといけないが。
15分ほど歩いただろうか。ほとんど道は舗装してなく、家など立ってることもない山の中腹ぐらいまで来たところにそこはあった。
少し大きな建物だ。瓦などもあるが、家自体が少しつぶれかかっている所もありだいぶ近寄るのも怖い。だが、目的地はここだ。
「すみませーーん。誰かいませんかーー。」
勿論誰もいないのはわかっているが、それはそれ、礼儀みたいなもんだ。
「失礼しますよっと」
比較的大丈夫なほうから家を回ってみる。
家の前方に開けたところがある。そこまで回ってみて、こっちを見ている人がいるような気がした。
いや、しただけで、それはもう仏さんだった。
でもずっと家から誰かがこっちに来るの待っているかのように、その仏さんは死んでいた。
「あなたにお届け物ですよ。」
おれは袋を開けた。そこには一通の封筒が入っている。届け先はこの家。渡す相手は目の前にいるからこの封筒を渡して終わりだ。
でもせっかくだし、誰も見てないからいいよなと思い、
「あ、じゃあ俺代わりに読んであげますよ」
とか言っちゃって、封筒をバリバリ開けてしまった。
そこには一行、
ごめん。それでも、ありがとう。
「ごめん。それでも、ありがとう。」ですってーーー
あーーあ、この封筒を届けるために大金が払われているなんてな。まぁお金はもらえれば俺はそれでいいんだけれど。
仏さんと俺は横に並んで来た道をじっと見た。
どうせ、この封筒を出すくらいなら自分でくればいいのに。
俺はそう思うとその封筒を防護服の手で紙飛行機にして飛ばしてやった。
全然とおくまで飛ばずに目の前に落ちてしまった。
あやまるくらいならなんでそんなことをしたんだ。ありがとうを言いたいなら自分で言えコノヤロー。
そんなことを思いつつ、仏さんに別れを言いこの場を去った。
伝えたかった事 @katakurayuuki
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