母が欲しい。
なんてインパクトのある言葉なのかと思った。
だが勘違いしてはいけない(私はした)
欲しいのは、妖怪画家をしている砂川露景が一ヶ月前に引き取った妖怪子狸の母。
この男――露景はちょっと(いや大分)不器用だと思った。
人間味が欠けたような話し方。ぶっきらぼうな態度。
しかし、狸改め、たぬ子を教育して欲しいと気にかることもある。
夫婦の会話を聞くとハラハラ多数。
もとより、たぬ子の母が欲しいだけで結婚したと言った通り、少々真っ当な夫婦とは言い難い。
ヒロインの那子もちょっと言葉足らず。物おじもしているよう。
しかし、そんな時は、空気なんぞ気にしない元気いっぱいのたぬ子の突撃で緩和される!
もう、たぬ子は癒し。
ちぐはぐな三人家族は三人とも不器用なのがありありとわかる。
そんな三人が少しづつ少しづつ、三人らしい家族の形、絆を築いていくお話。
どうか幸せな家族の形が見つかりますように。
そんなことを願ってしまう――おすすめのお話です。