山間の古き屋敷に棲まう。

故あって山間の古屋敷に暮らし始めた
彼の許に、化生達が集う。
 紅い鰭の揺蕩う金魚に翡翠色に輝く鸚哥
そしてぬるりと白い影の様な猫。
  ひっそりとした屋敷を彩る怪異は
まるで人の様に振る舞うが…。

 人と化生の静かな暮らしは
いつの間にか世の あわい を曖昧にして
黄昏時の長い廊下に映る陽の名残を
 懐かしむ様に
         丁寧に綴られる。

美しい表現と嫋やかな文章が、何処か
懐かしい風景を目の前に繰り広げて行く。

 穏やかでいて不穏な日々。

幽かに揺れる言の葉を愛でる。

  

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