風と月と炎、三人それえば最強です!な訳ないでしょ!違かった?!
うらら
第1話「死神じゃないシエル」
風がそっと、森の奥を撫でる。
緑色の髪がゆらりと揺れて、彼女はそっと瞳を閉じた。
「……死なせないよ。今日は、誰の命も奪わないって決めたんだ」
そう言って、緑十字シエルは大きな鎌を地面に立てかける。
彼女は死神と呼ばれている。
けれど——本当の彼女は、誰よりも優しい魔法使いだった。
人を救う風を操ることができるシエルは、かつて多くの命を守ってきた。
だが、その力が強すぎるあまり、時には風が命を攫ってしまう。
そのたびに、シエルはひとりで森にこもり、静かに涙を流していた。
――そんなある日、空に赤い星が現れた。
「風が……ざわめいてる。これは……ただ事じゃない」
彼女のもとに現れたのは、炎のリボンを揺らす少女、宵月ウサギだった。
真っ赤な瞳でまっすぐシエルを見つめる彼女は、燃えるように言った。
「シエル。伝説、思い出さない? あたしたち3人、選ばれたんだよ」
「……3人?」シエルは目を見開いた。
その瞬間、月の光をまとう巫女服の少女が木々の間から姿を現した。
紫月カンナ――月の魔法を操る、静かなる使い手。
「……赤い星の輝きは、封印の予兆。世界がまた崩れ始めているわ」
静かな声だったけれど、その瞳には確かな決意が宿っていた。
3人の少女は再び集まった。
それぞれの運命を背負い、力を合わせるときが来たのだ。
けれど、世界はそう簡単じゃない。
彼女たちの前に立ちはだかるのは、「敵」として語られる存在たち。
未来を知る者――月街ミルク。
複製(コピー)の使い手――黒闇アリス。
そして、時間を進める力を持つ人形――茶猫スズ。
「……わたしたち、敵なんかじゃないのにね」
ミルクが寂しそうに呟く。
彼女の心には、誰にも言えない秘密があった。
世界が崩れる音がする。
でも、その中で――風と、炎と、月がひとつになったとき。
すべての運命が、変わり始める。
これは、命を奪わない死神・シエルと、
伝説に選ばれた3人の魔法使いたちが紡ぐ、やさしい戦いの物語。
そして、もうひとつの真実に出会う物語でもある。
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