5つ年上の、ちょっと泣き虫で優しい彼女と出会った春。

かなやん

第1話 日常

私はこの春、大学四年生になった。

私の通う大学は、市内ではそこそこ有名な女子大である。


私は朝が苦手で、毎朝何度も携帯のアラームを止めては、遅刻ギリギリで登校するのが常だ。


三年の前期に水曜一限の必修科目を落としてしまったせいで、四年生になった今も、クラスのほとんどが登校しない午前中の一限に毎週出席する羽目になった。


新入生だったころは、

「高校生まではちゃんと時間通りに登校していたのだから、大学生にもなって単位を落としている先輩なんて自堕落だな」

と内心思っていたのに、今や自分がその立場である。



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「かなやーん!今日も急がんと遅刻やぞ!」


後ろから調子のいい声と一緒に、背中を軽くたたかれる。

ゆかりんだ。


ゆかりんは朗らかで、いつも笑っているクラスの中心的な女の子だ。

名前は知らないが、いきものがかりのボーカルに似ているなと思う。

毎朝、大学のアカペラサークルの練習とやらで早くから登校しているらしい。

本当に熱心だな、と感心する。



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なんとかチャイムギリギリで教室に滑り込み、一番後ろの隅の席に座る。

一つ下の学年の子ばかりのこのクラスでは、どうにもなじめる気がしなくて、気が重い。



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「この授業は必須科目になりますので、単位を落とした場合は来年も履修になります。そうならないようにしっかり講義を聞いてくださいね」


先生は昨年と同じセリフを淡々と告げる。

だけど今年は、冷ややかな視線が私とばっちり合ってしまい、気まずかった。


「まあ、今年で最後のチャンスの学生もいますが」


……一言余計だ。

その言葉に合わせて、前方の一学年下の生徒たちからの視線が突き刺さる。



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何度も眠気に負けそうになりながら、ようやく授業が終わる。

水曜日はこの一限だけのために登校しているので、終われば自由時間だ。

他の曜日は昼過ぎまで寝てしまうことが多いから、むしろ水曜だけは一日を長く使える。


チャイムと同時に、前の席の学生たちが元気に椅子を引く音が響き渡る。

人の波がはけるのを待ってから、私はそっとスマホを取り出した。


昨夜、

「レズビアン 出会い」

「レズビアン カップル」

「ビアン 彼女を作るには」

といったワードで検索を重ねて、ついには専用の掲示板アプリをダウンロードしたのだ。



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