「そうだ、プールを楽しもう(2)」

水着を買うついでに決めた日時、の当日。

ボクは更衣室で着替えたのでプールで待っていた。

近くのパラソル付きチェアに座っている吸血鬼と風月と駄弁っていると、更衣室から故が出てきた。

そしてこちらへと歩いてくる。

「ど……どう……?」

故が着ているのはフリルの付いた水着。セーラー服っぽいデザインが可愛らしい。

「…………可愛いなぁ。」

「ほ……ホント……?」

「……嬉しい………。」

「お、正直者。」

「僕、妹の水着知らないんですよね。」

「路ちゃんの水着可愛いよ。私のより可愛い。凄い。」

「そ……そんなに……??」


「あ、そうそう。一緒に水着を買うときに雑談して知ったんだけど四番目の子の名前さだれっていうらしいよ。」

「あ、そうなんだ。」

「そうらしいよ。」

「他の人達が来るまではそこの2人とみたいに座って待ってようか。」

「うん、そうしよ。」

水着を買うときにびっくりしたのはスクール水着が無かった事と意外と安かった事。

な〜んて事を考えていると、更衣室から2人出てきた。


出てきたのは路とさだれ(彼が本当にその名前なのかは不明)。

「おあ……路ぃ…………。」

「お前……容姿のせいで余計に女に見えるな。」

「どう?お兄ちゃん。可愛い?」

「可愛い可愛い。」

「反応が雑すぎ……。」

「…………お前、露出が……。」

「何。文句ある?」

「いや……無いが…………。」

今、この場にいるのは水が駄目な吸血鬼と風月。その隣のパラソル付きチェアに座るボクと故。そして今やって来た路とさだれ……。うん。人数が足りない。

先生はわかるし調律者もまぁわかる。…………憩さん………………憩さんはどこ?

「憩さん来ないの?」

「あぁ、言ってなかったな。あの占い師はこの前仏に騙されたから穢れを祓ってる最中だ。」

「あぁ…………そういう事か……。」

「あれ??いつ?」

「この前2人を抱えてそのまま疲れて美術室に来たとき。」

「……保健室で寝たときか。」

「そうそう。あ、皆遊んでいいよ。」

「「は〜い。」」

そう返事をした路とさだれとあと調律者がゆっくりとプールの中に入っていく…………????

「あれ、いつの間に。」

「………………さっき来た。」

「そっか。」

「お兄様、私達も入ろ。」

「ん、すぐ行く。」

そう言ってボクは故と一緒にプールの中へと入った。



ー五番目視点ー

皆がプールで遊ぶ様を座って眺めている。

「…………占い師も楽しんでいるようでなにより。」

「いるんですか、憩さん。」

「あぁ、呼んだからな。」

「でも、見えませんけど……。」

「…………次元の壁を認識できれば視えるさ。」

真っ赤な世界。真っ赤な空の下。真っ赤に色づけられたプールで独り目を閉じて浮かんでいる憩を、ただ見守っている。

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