22話「水曜日(1)」
時刻は昼前。夏祭りという催しが終わり、そろそろ夏休みがやってくる時期だ。
この日は、朝から校庭の方が少し騒がしかった。
現在は4限目の最中で、そろそろ終わりのチャイムが鳴り始めてもいいと思う頃に起こった事だった。
突然、学園側で爆発音がした。
原因は窓を見れば予想がついた。……それが答えでもあったのは間違いない。
霊体となってボクに抱きついていた故が気になったのか窓を覗き見た。もちろん、ボクも覗き見た。
(…………うわ、学園長が組織の圧に負けた。最悪だあ。)
学園の正門で、組織の人達と学園長及び一部の先生達が話し合いをしていた。
けど、組織側が武器を出したので死合い寸前になってしまった。
(…………あ、この組織の人達って……)
(…………明星兄妹の関係者かな。確か。)
ここの七不思議になったときに色々と話してくれた中にこれがあったのを憶えている。確かそう。確かね。
(明星兄妹のいとこ……だっけ?あの人達。)
(明星コーポって感じの名前だった筈だから多分そうかな。)
(…………どうするの、これ。)
(どうしようね、これ。)
(…………追い返してくれればいいんだけどなぁ……。)
(それが1番だけど…………ね。)
この感じは能力者を連れ去るまでは離れないだろう。
(どうする?)
(…………ここの生徒も先生も戦えないし能力者は出れないから…………こっちが出るしかないかもなあ。)
(ここの学園長なら許可貰えそうだし、それはアリかも。)
(…………う〜ん……まぁ…………。)
(じゃあ、私が行ってくる。)
(あ、うん。いってらっしゃい。)
本当ならボクか他の誰かに行ってもらうのが1番いいんだけど……。
(能力が使えるようになるまでの時間を考えると、こういうのは彼女が適任なんだよね。)
ボクは霊体になってここで静観しておこうかな。
ー故視点ー
「こんにちは……学園長さん。と先生。」
「あぁ……こんにちは。」
「あ、こっちの方が来るんですね……。てっきり
「お兄様って七不思議の中で能力を使えるようになるまでに1番時間がかかるから……早い私が来たほうがいいかな、って思って。」
「あぁ……確かに。」
「先生は保健室に戻ってください……?」
「戻ってもいいですけど……盾はあった方がいいでしょう?」
「あった方がいいけど、今回は無い方がいいかも。」
「……?」
「…………今回は能力は使わないよ。キーパー、後全部よろしく。」
「キーパー……?」
「って、なんですか?」
「造神の中にキーパーっていう個体がいるの。今回喚んだのはその中の天秤が使えるやつ。」
そう説明をしていると、空から降ろされている天秤が見えた。
チーンッ
「あ、始まった。」
甲高い音が1つ鳴った。
組織の人のうち、2人の身体が浮かび、天秤の皿に乗せられる。
「下がったら死ぬよ。アレは最後の1人も残さないから。」
カコンッ
右側の皿が下がった。
「…………下がったって事は、何かしでかしてたんだろうね。多分。」
右側の皿に乗せられていた人の身体が弾け飛んだ。
「あ、この人は窃盗罪みたい。」
「え、死に方だけで判るの?」
近くにいた先生にそう聞かれた。
「キーパーと数年間一緒に過ごしたからなんとなくで覚えちゃった。」
そう言っている間にも、次から次へと死んでいく。
人の身体が砕けたように見える。
「これは暴行罪。」
人の身体が溶けたように見える。
「これは性犯罪。」
人の身体が裂けたように見える。
「これは殺人罪。」
人の身体が________________________________
正門の前の地面が死んだ人間の血を吸い続けたせいで赤く染まっている、
「やっと終わったね。じゃ、解散にしよ。」
私はそう言ってお兄様のところに戻った。
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