24話「金曜日(1)」
連日の騒ぎで休みが無い事を嫌に思いながら迎えた金曜日。今日は一学期の終業式だけだったので、昼だというのに生徒はいない。いても部活がある人くらいだろう。
まぁ、それだけで終わる筈がない。そう思いながら、校門の前に誰かが立っている事を確認した。
先生に頼むのがいいと思い、保健室へと出向く。
「せ〜〜んせ〜〜!」
「先生〜?」
「……うるさいですよ、天使の人。で、どうしました?」
ドアの前に立ったまま、用件を伝える。
「校門に誰かいる。」
「あ、行ってきます。」
ガラガラ、と音がした後、ピシ、という音がした。
保健室に人気を感じない。だから、もう行ったのだろう。
(はっや…………。)
ガラガラ、と音がした。
「ただいま___」
「あ、おかえり。」
「戻りました。」
ピシ、と音がした。
「うん。ふふ。」
「…………あ、そうだ。」
「?」
「保健室入っていい?」
「いいですけど……。」
「じゃ、失礼しま〜す。」
保健室のドアを開き、そのままベッドに寝転がる。
「……何かあったんですか。」
「うん。」
「言っていいですよ……。」
「あのね、昨日の夜にね?」
「はい。」
「ひっさびさに故が暴走……というかいつものに戻ったんだけどね?」
「はい。」
「ボクね、床に押し倒されて服脱がされてそのまま胸吸われたんだよね。」
「はい………………はい????????」
「だから……胸がヒリヒリしてさぁ……??痛いの…………。」
「だから助けてほしくてさ……。」
「た、助けられますかね、それ……。」
「無理そ?」
「かなり……怪しいところです。」
「とっ……とりあえず見せてください……??」
「見せ……まぁ見せるしかないか…………。」
「まぁそれしかないですよ……。」
白衣を脱ぎ、服をたくし上げる。
「…………どんな感じ……?」
「……真っ赤ですね。あと噛まれてます。」
「うわ…………。」
「…………とりあえず、噛み跡をどうにかしましょう。」
「うん……。」
「どうしたらいいんでしょうね、これ。」
「ん〜……。」
「まぁ……包帯でも巻いとく?」
「まぁ……そうしましょうか…………。」
「…………なんか、さらし巻いてるみたい。」
「……確かに。」
「ん、ありがと。」
「故さんはどうします?」
「見つけたら兄として躾ける。」
「あぁ…………はい……。」
たくし上げた服を下ろし、白衣を着なおす。
「…………あ、ちょっとだけマシになったかも。」
「なら、よかったです。」
「これは多分気持ちの問題。」
「病は気から、という言葉があるくらいですからね。」
「まぁ…………確かに。」
「あ、そういえばなんですけど。」
「ん?」
「校門の前にいた人、四番目の方と知り合いなんだそうです。話がしたいとかなんとか…………。」
「へ〜〜……後で見つけたら言っとくか。」
「それはお願いします。」
ベッドから離れ、保健室のドアに手をかける。
「またね〜。」
「また今度。」
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