第4話 メンデルスゾーンの法則「私と結婚しよっか」

理科りかちゃん先輩は、綺麗な二重ふたえまぶたですよね!なんで僕は、一重ひとえまぶたになっちゃったんですか?」


「何かあったの?」


「実はこの間、家族の間で少し一重ひとえまぶたのことで揉めまして。」


「それなら今日のテーマは、一重ひとえまぶた二重ふたえまぶたにしよっか?」


「ぜひ詳しく知りたいです!」


「科学をわかりやすく説明するのって難しいよね?まずはメンデルの法則ほうそくを説明しないといけないの。メンデルって名前は聞いたことがあるよね?」


「はい。名前だけなら。音楽の授業で聞きました。」


「それはメンデルスゾーンだから!」


「えっ?メンデルスゾーンとメンデルって違うんですか?」


「全然違うから!メンデルスゾーンは作曲家でしょ?」


「そうなんですね?メンデルスゾーンって長いから、ずっとメンデルって呼んでたな。」


「そう呼んじゃうと、紛らわしいことになるでしょ?メンデルはエンドウ豆の研究をした人ね。」


「作曲以外に、研究もしてたんですね。」


「だから作曲家と違う人だから!」


「えっ?じゃあエンデルスゾーンってことですか?」


「エンデルスゾーンはいないから!」


「メンドウ豆の研究をした人ですよ?」


「メンドウ豆でもないから!普通はエンドウ豆で考えるんだけど、せっかくだから最初から一重ひとえまぶた二重ふたえまぶたで説明しよっかな。」


「また人で考えた方が、科学はわかりやすいですよね。」


「私の家系は、代々みんな二重ふたえなんだよね。」


「代々ってことは、お母さんも二重ふたえ美人ってことですか?」


「私が同じく代々二重ふたえの男性と結婚するよね。」


「えっ?二重ふたえの男性と結婚しちゃうんですか?」


「その人との間に子供が生まれるよね。」


「もう子供まで作っちゃうんですね?」


「その子供も多分二重ふたえなんだよね。」


理科りかちゃん先輩は、二重ふたえの男性が好きなんですか?」


「私が一重ひとえの男性と結婚する可能性もあるよね?」


「そうですよね!僕の家系は、代々みんな一重ひとえなんですよ!」


「そうなんだ?じゃあちょうどいいから、私と結婚しよっか。」


「えっ?そんな簡単に僕と結婚しちゃっていいんですか?」


「うん。私たちが結婚した場合も、子供は多分二重ふたえになるんだよね。」


「でも僕の家系は、代々一重ひとえですよ?」


「そうなんだけど。代々一重ひとえと代々二重ふたえの場合は、二重ふたえになりやすいのね。」


「そうだったんですね!じゃあ僕の娘も成長したら、理科りかちゃん先輩みたいに二重ふたえ美人になるんですか?」


「そして私たちの娘が、同じく一重ひとえ二重ふたえのご両親の息子さんと結婚するよね。」


「ちゃんと相手方のご両親に、ご挨拶しに行きましょうね。」


「そして子供が生まれるよね。」


「早いですね。その婿殿は大丈夫なのかな?娘が心配だな。」


「子供が4人生まれるんだよね。」


「いきなり4人ですか?その婿殿、早すぎじゃないですか?本当に大丈夫なのかな。」


「4人のうち、3人が二重ふたえで、1人が一重ひとえになる確率が高いんだよね。」


「1人だけ一重ひとえなんですか?」


「そうだね。その可能性があるってだけなんだけど。」


「あれ?でも両親は、どちらも二重ふたえなんですよね?」


「両親は二重ふたえなんだけど、一重ひとえが生まれる可能性があるってことだね。」


「そうなんですね!その一重ひとえの子供って、僕らの孫ってことですよね?」


「私たちの孫は、3人が二重ふたえで、1人が一重ひとえかもしれないね。」


「両親が2人とも二重ふたえなのに、子供が1人だけ一重ひとえだと、他所よその子なんじゃないかと疑われないかな?今から老後が心配ですね。でもどうしても困ったらアイプチとかもあるから、そんなに心配しなくても大丈夫なのか。」


「これがメンデルの法則だね。」


理科りかちゃん先輩って、ずっと未来のことまで考えていたんですね。じゃあ僕らの結婚式には、メンデルスゾーンの曲を流しますか?」


「えっ?」


「あれ?」

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