第5話
「だから、どうしても今日じゃないとダメだったので……あのとき、声をかけてくれて本当に助かりました」
心からの感謝を込めてそう言うと、彼はふっと笑って、
「そっか。じゃあ、おめでとうだね」
その声があまりにも柔らかくて、つい顔を上げて彼を見つめた。
——あれ?こんな顔してたんだ……。
暗がりでは気づかなかった。
男らしさというよりは、どこか中性的で、整った顔立ち。
黒髪だと思っていた髪には、光が当たるとほんのり赤みが差している。
「高校に合格したってことは……今は中3?」
彼の声に、見惚れていた意識がふっと現実に引き戻される。
「っ、はい。中3です。4月から高校生になります!」
少し慌ててそう答えると、彼は「へぇ」と興味深そうに頷いた。
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