関連した夢

次の日の真夜中に奏那は急に起きだした。なんも前触れもなく突発的に。

「どうしたの。目からは涙が出てるけれど。何かあったの。」

その声は聞こえていないけれどもこちらに座って来た。嫌な夢を見たのだろうか。初めてだったから少し驚いていた。

「なんか嫌な夢だったな。このままなんも言わないでさよならなんて嫌だよ。」

何のことか分からなかったが話を聞いているとなんとなく全貌が見えてきたような気がする。

「止まった時計の事聞いたのが悪かったんだろうな。触れちゃいけないような固まった顔をしていた。なんで聞いちゃったんだろうな。なんで言ってもらえないだろう。」

暗い部屋に机のランプを付けて独り言を吐いた。もしかするとこのままの世界線を夢でも見たんだろう。落ち着くまで座らせることしかできない無力さを痛感していた。寝巻を手で握って悲しそうにしていた。感情が豊かな人なのでこういうこともあるのだと分かった。数十分で収まりかけてきたのでまた聞こえるはずもない声を出した。

「もう遅いから寝たらいいと思うよ。そして大切ならいろいろ知ることも大事だと思う。大丈夫優しい子だからね。」

そういった後で立ってベットに寝ようとしていた。

「ありがとうね。」

聞こえないはずなのになぜかお礼を言われて少し怖くなったが使ったものには礼を言うのが習慣だったことを思い出した。

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