わたしは知っている

わたしは知っている

天気のいい日はよく星が光っていることを

酔っぱらいの千鳥足の道のりが一番正しいことを

頭がくらくらするときに見える世界がなにかの間違いではないことを

わたしは知っている

シベリウスの曲を聴けばよく眠れることを

世界中にあふれる偉い人の格言がすべて間違いであることを

愛という言葉が人間の恥部を隠す方便であることを

わたしは知っている

偶然は偶然でしかないことを

北枕をしても即座に死ぬわけではないことを

信じたくない噂に限っていつも真実であることを

わたしは知っている

だれもわたしを見ていないことを

賢しらぶることは終わりの始まりだということを

友情も愛情も熱情もすべてが刹那的でくだらないことを

だけどわたしは知らない

だれでもできることのやりかたを

忘れたいことを忘れることを

耳鳴りも頭痛もない世界に痛みなく行く方法を

勇気のないわたしに

想像力の欠如したわたしに

楽観主義をどこかに置いてきてしまったわたしに

だれか教えてください

明日の朝にすっきりと目覚める方法を