霧の山の、迷子救い。

せーかい

プロローグ

──深緑山しんりょくざん

 日本にあるこの山は、昔から霧がよく出ることで知られ、何人もの遭難者を出してきた。

多くは、帰ってくることすら叶わなかった。


 だが、1970年代を境に遭難者のほぼ全員が生存して戻るようになった。


 遭難者を助けてくれる、何かがいる──


 いつからか、そんな話が深緑山には囁かれるようになった。

 そして帰って来ることのできた人々は、口を揃えてこう言う。


「なぜ帰って来れたのかはわからないけれど、ありがとうって、何かに伝えた気がした。」

と。


『──この霧の山には、まだ誰も知らない「何か」がいる。

君が、もしこの山で足をとめたなら。

その時、きっと、出会うことになるだろう。』

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