はなちゃんのしあわせ日記

@12114

はなちゃんのしあわせ日記

2012年5月17日


今日は、また一日が過ぎた。昨日も、そしてその前の日も、なんだか同じことの繰り返しで、何も変わらない。ただ、時々、ふとした瞬間に思うことがある。もし、私がこの世界から消えたら、誰も気づくのだろうか?そんなことを考えてしまう自分が嫌いだ。誰にも気づかれないままで終わってしまうのだろうか。


家に帰ると、またお父さんが酔っ払っていた。お母さんはいつものように無言で洗い物をしていて、私の存在にはまるで気づいていない。何度も繰り返されるこの光景に、もう何も感じなくなってきた。無視されるのは当たり前。私なんて、誰も愛していないから。


学校では、いじめが続いている。何度も注意しても、あの子たちはやめる気なんてない。私が何かを言うたびに、笑って「また泣くんじゃないの?」と馬鹿にされる。でも、泣きたくない。私は泣きたくないのに、涙が止まらない。


2012年5月18日


今日は、また新しいことを教えてもらった。ネットで見つけた「お小遣い稼ぎ」について。いわゆる援助交際ってやつ。でも、それってどうしてこんなに簡単に手に入るのだろう?誰かに求められるだけで、何も持っていない私でも、お金が手に入る。こんなことをしてしまう自分が嫌だけど、どうしようもない気持ちがある。お父さんがまたお金を持っていって、母親が泣いているのを見るのは嫌だ。


「私は、何かしてでも助けなきゃ」と思ってしまう。それが間違っていることだって分かっているけれど、こんな生活が続くくらいなら、少しでも楽になりたい。心が痛い。あの人たちに身体を求められる度に、私はどんどん壊れていく気がする。でも、止められない。


その後、クラスの男の子から「君、好きだよ」と言われた。誰かに必要とされるなんて、久しぶりだった。少しだけ、嬉しかった。でも、すぐにその言葉がどうでもよくなる。お金が欲しいわけじゃない、心が欲しいだけなのに。でも、どこでそれを手に入れるんだろう?


2012年5月19日


今日は、またお父さんに殴られた。酔っ払って帰ってきたお父さんに、何もできない母親を見ているのが辛くて、私も思わず口を出してしまった。そしたらお父さんは、「お前も黙ってろ!」って言って、また暴力を振るった。その痛みが体全体に広がって、でも心が痛いのはもっと深いところ。私は何をしても、誰かの役に立てない。どうして、こんな家に生まれてきたんだろう。


2012年5月25日


私はまた、援助交際を始めた。最初は抵抗があったけど、どうしても家のため、母のため、自分のためにやらなければならなかった。今日は、年齢もずっと上の男性と会った。お金はすぐに手に入ったけど、心がとても寂しくなった。あんなことをしてしまって、自分が嫌いだ。


でも、どうしてもお金が欲しかったんだ。家が貧しくて、お母さんが泣いているのを見るのがつらかった。もし私が、少しでも家計を助けられたら、少しでも母の顔に笑顔が戻るなら、そんなことも受け入れなければと思った。


だけど、気づいてしまった。私は、もう戻れないところまで来てしまったんだ。これ以上、私を知られることが怖い。私が何をしても、周りにどう思われても、どうでもよかった。



2012年6月5日


今日は、またひとつ大きな決断をした。私は、今後自分の人生をどうしたらいいのか、わからない。疲れちゃった。だからこの人生を終わりにする。

「サヨナラ。」


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