第17話 そして、怒りの弾をこめた④
学園長室
私は影日向くんを着たままで、センパイと一緒に学園長先生の前に立っていた。
「自己申告します! 吉井さんにはストーカーがまとわりついていたので、オレがぶっ飛ばしました!」
学園長先生は鋭い目で“オレ”を見るが、オレはその視線に動じる事無く、言葉を続ける。
「これについての証拠はありません」
「先日、吉井さんが学園に言って来た事はどうなります?」
「それだって彼女の自己申告ですし、証拠になる裏付けは取れませんでした」
学園長先生はため息をついた。
「そういうことですか……」
それから少し悲しい目で“オレ”を見たのが、辛かった。
「暴力行為をしてしまった影日向くんは……しばらく謹慎ですね」
“オレ”は学園長先生の顔が見れなくて一礼して踵を返した。
「待ちなさい!!……杏ちゃん!」
“私”は背中を向けたままだ。
「暴力は人を傷つけるだけじゃありません。あなた自身もたくさんたくさん傷つけるのです」
あのお母さんの様な優しい声だ。
「でも…… こんな風なことが起きたら、あなたは、またやってしまうのかしら……」
何も答えず、前を向いたまま、ただ、ドアを開けて学園長室を出た。
センパイも残したままで……
第18話へ続く
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