第2話「え、勇者が旅に出ないんですか?」

「おーい、そこの兵士さーん!このレベル帯でオススメの狩場、知りませんかー?」

「おーここいらだったらゴブリンの巣がおすすめだ!お前さんのレベルだったらぎりぎりだから先にサイショの草原に行った方がいいな!」

なるほど、じゃあゴブリンの巣だな!

そうして俺はゴブリンの巣でレベリングすることにした。




「おーい、そこの兵士さーん!このレベル帯でオススメの狩場、知りませんかー?」

「おーここいらだったらヒートスパイダーの巣が狩りやすいぜ!ターコイズトカゲがには気を付けろよ!」

なるほど、じゃあターコイズトカゲ狩りだな!

そうして俺はターコイズトカゲでレベリングすることにした。




「おーい、そこの兵士さーん!このレベル帯でオススメの狩場、知りませんかー?」

「この辺でレベリングかい?やめときな!この辺は飛竜がわんさかいるんだ。特にワイバーンなんかとエンカウントしたら大変だ!」

なるほど、じゃあワイバーン狩りだな!

そうして俺はワイバーンでレベリングすることにした。





「おーい、そこの兵士さーん!このレベル帯でオススメの狩場、知りませんかー?」

「え?そんなレベル見たことないんだけど。こわっ。適当にドラゴンでも狩ってきたら?」

なるほど、じゃあドラゴン狩りだな!

そうして俺はドラゴンでレベリングすることにした。




そうして俺はレベル102まで来た。

102、つまりまだ上限ではないということだ。

そして、そろそろ狩場を探すのにも飽きていた。

といううことで、自分で狩場を作ることにした。

この世界特有の鉱石「アーマンタイト」を摂取したスライム「アーマンタイトスライム」こいつが俺が探した中で一番効率がいいモンスターだ。

つまり、こいつを増やして狩る。

それが最速のレベリング方法だ。

こうして俺はスライム牧場を作ることにした。




「ふぅ、そろそろ普通の旅でもしてみるか。」

そう思った俺のレベルは257。

つまり上限まではまだまだ上があるということだ。

その事実が判明した以上、今後はさらに引きこもってのレベリングが必要になる。

なら、今のうちにこの世界がどういう世界なのか知るのも楽しいかもしれない。

何より、アーマンタイトスライムに映る自分の顔を見る。

うん、イケメンだ。

この顔なら表に出ても恥ずかしくはない。

普通に生活できる!

そう思い俺は王国に戻ることにした。




「え、勇者が外に出ない?」

「そうなのじゃ……部屋から出てこん……。」

城に戻るとあれだけ威厳たっぷりだった王が、しなしなになっていた。

なんか可哀そうだな。

「とりあえず、俺も元引きこもりだ。いったん話くらいは聞いてみるよ。」

「おぉ!そうか!頼んだぞええええよ!」

そういやそんな名前だったな。

やめようかな。




コンコンッ

「お~い、勇者様~出ておいで~。」

て言って出てきたら楽なんだけど、

ガチャ

「え?」

「……。」

開くと思っていなかったドアが開くと、中からあの時の男の子が出てきた。

「……もしかして、君が勇者か?」

「……うん。」

「……なんで旅に出ないんだ?」

「だって……別に元の世界とか、この世界とか、興味ないもん。」

「そ、そうか。なんだ、あれだ。元の世界に帰ったらおじちゃんがおもちゃ買ってやろうか?」

「……遊んでくれるの?」

「おう!いくらでも遊んでやるぞ!何ならうちの子になる?なんてな!」

「本当!?」

「え?あ、うん。」

「じゃあね!じゃあね!僕頑張る!」

「お、おう?」

「行ってくるね!えーさん!」

「おう!……あれ?名乗ったっけ?」

こうして勇者は旅立っていった。

とりあえず王様には感謝された。

さて、勇者、(ああああというらしい)が魔王を討伐するまで何をしようか?

時間はたっぷりある。

ゆっくりこの世界を見て回ろう。


この日、勇者は旅立った。

しかし、この後長々と旅は時間がかかることになるのは俺を含めて誰も知らなかった。

いや、もしかしたら、あーちゃんだけは知っていたのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る