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気づくと、震えは止まっていた。
何も言えなかった私の代わりに、
リナは迷いも遠慮もなく、
真正面からぶつかってくれた。
守られているようだった。
弱くなった心の前に立って、
代わりに戦ってくれたみたいだった。
リナの言葉は
盾であり、武器だ。
空気にのまれずに済んだのは
間違いなく、リナのおかげ。
でも、
言いたかったことは別にあった。
長谷川先輩と付き合っていたこと、
リナと松田は知っている。
だけど、私がなぜあそこまで動揺したのか
その理由までは知らない。
過去の話は、していない。
ただ元カレがちょっかいをかけてきた、
二人はそう思っている。
けど、違う。
長谷川先輩は、なにも悪くない
投げやりになったのは、私だ。
普段はなんてことないフリをして過ごせても、
あの頃と繋がるなにかに触れた途端、
足をとられて抜け出せなくなる。
黒い何かに引きずり込まれていくみたいに、
それは、声だったり、匂いだったり、
人の名前や、ちょっとした一言だったりする。
平気だと思っていても、
思いがけないタイミングで、揺さぶられる。
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