違う!そこじゃない!!

クライングフリーマン

ほくろ 今昔

【ほくろと注射器】

 ほくろは、メラニン色素を作る細胞であるメラノサイトが皮膚の一部に集まってできる良性の腫瘍です。

 原因は・・・

 遺伝:

 遺伝的にほくろができやすい体質を持つ場合があります。

 紫外線:

 紫外線はメラニン色素の生成を促進し、ほくろの原因となります。特に、日焼けを繰り返すとメラニンが蓄積しやすくなります。

 生活習慣の乱れ:

 睡眠不足や偏った食生活、ストレスなどは、ターンオーバーを乱し、メラニンの排出を妨げる可能性があります


 以上は、ネット検索で見つかる説明の一部。

 私が子供の頃、すなわち、半世紀前は「生まれ付きの痣(あざ)」扱いでした。

 だから、成長過程で新しいほくろが出来た話をすると、「こいつは嘘をついている」と決めつけられ、イジメに遭ったりしました。

 後世になって、『遺伝』と『紫外線』は認知されるようになり、前述のような馬鹿げた発言をする人はいなくなりました。

 芸能人では、『チャームポイント』として『売り』になりました。

 双子の姉妹デュオとして有名なザ・ピーナッツは、で、伊藤エミと伊藤ユミの二人でしたが、見分けるポイントとして、ほくろがある方がエミさん、ない方がユミさんでした。

 でも、最初の頃は、ユミさんはメイクなどで、ほくろを足していました。

『チャームポイント』として市民権?を得たので、その後デビューした歌手・タレントは寧ろ取り上げられ、売れました。

 日焼け止めや日焼け後治療薬を売り出した薬品メーカーにより、『メラニン色素』は認知されました。

 生活習慣や他の原因などは、もっと後世になってからの話。

 レーザー治療などが発達し、除去手術も流行りだしました。

 顔のほくろを取ると『運気が下がる』という『迷信』は、未だに根強いようです。

 有名な司会者の方が、『売れなくなった』のは、偶然だと思いますが、関連付ける人も少なくありません。

 ほくろには、様々な色や形があり、口の周り鼻の周りだと目立ちます。

 似顔絵で一番書きやすいポイントでもあります。

 実は私も、鼻の横に『小さくないほくろ』があります。

 運気はともかく、失敗された時が恐いので、再三除去手術を勧められましたが、そのままにしています。

『チャームポイント』ではないけれど、無理に弄りたく無かったから。

 実は実は、で、私は、今は亡き母と同じ場所にほくろがあります。

 鼻の近くだけでなく、肘の裏側にもほくろがあります。始終屈伸され、隠れる部分です。

 しかも、両腕の同じ場所にあります。子供の頃発見した時は驚きました。

 はい、偶然です。間違いなく遺伝的な結果です。

 医療機関で採血や点滴の際に、場所が分からない看護師さんには、このほくろの近くだよ、と指さしても、触っても『見付けられない』でまごまごしていると、ほくろの近くでない所を探ろうとしたりします。

 へたくそ、なのです。以下は、採血に関する私見。

 左を右に変えて針を刺そうとしたり、足首に変えて刺そうとしたりする場合もあります。

 昔、通院していた病院で3度、クレーム入れたことがあります。

 ベテラン看護師が不足しているから、と事務の方で『職人看護人』グループを設置したこともあります。

 結果は、以前より悪くなりました。

 患者数人並んだ場所の近くで、数人がかりで『人海戦術』で補おうとした結果でした。

 クレームも私1人では無かったので、決して『我が儘』ではありません。

 何故か?

 答は簡単です。私達は機械ではありません。

 詰まるところ、『患者』を診ていないのです。練習してきた『人形』じゃないから、『最大公約数的措置』ではダメなのです。

 採血の際に、ゴムバンドやチューブを腕に巻きますよね。 それは血管を浮き上がらせるために行っています。 その血管を浮き上がらせることを「駆血」と言い、腕に巻くものを「駆血帯」と言います。基本的には医師や看護師の経験や勘で行われてきました。

『初めてのお使い』で経験や勘がありますか?

 その看護師が経験を積む期間、患者はモルモットにならなくてはいけないのでしょうか?『当たり外れ』があるのは、看護師の方だけなのです。

 医療機関で『打ち直し』を求められたら、出来れば断って下さい。

 手術や他の検査等で余裕が無い場合は、お互い譲歩も必要かも知れませんが、『交替』を申し出る権利はあります。

 『打ち直し』の依頼は義務なので、勝手にやり替えれば『医療過誤』になります。

 ベテラン看護師でなく、医師が交替する場合もあります。

 そもそも、「駆血帯(くけつたい)」の締め方や枕を『定型的』に単なる手順で使うことが間違いなのです。

『定型(マニュアル)』が通じるのは、『若く』て『健康』な人で、血管が浮き出やすい体質の人の場合のみ。

 総じて、肥満があれば、浮き上がり難いです。また、高齢者は体格に拘わらず浮き上がり難いです。

 私は、若いときは、肥満で浮き上がり難かったけど、今は老齢で浮き上がり難い。

 チャップリンの映画モダン・タイムスの様に、ベルトコンベアで流れる機械のナットを締め上げる作業ではないのです。

『ほくろの近く』は、ほくろの近く。

「私は、あなたのモルモットではない!!」

 そう言ってもいいんです。穴だらけ傷だらけになりたくなかったら。

誠意ある医療者は、患者とのコミュニケーションを大事にするものです。

 ―完―

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