気が付くと未完のweb小説の主人公でした。〜このまま行くと戦場に放り出されるので早々にドロップアウトしたいと考えていました。ただ、人生って基本的には上手く行かないですよね。〜

mirror

覚醒

私は人間の赤子である。名前はまだ無い。


髭の男「お前は私の息子!我が家の嫡男、鉄雄だ!炎導鉄雄だ!」


訂正しよう。名は今、付いた。

とある未完のweb小説の主人公、炎導鉄雄。それが私の名だ。ここは『地球』とは別の世界。小説の中の世界だ。何故それを私が知っているのか?

理由については皆目見当が付かない。

いわゆる転生の類いならば"前世の記憶"という物がある筈。しかし、そんな物が私の中には無い。分かっているのは『地球』と言う世界があり、ここがその『地球』で発表された小説の中という事だけだ。

脳内に知識がある理由として、他の可能性も考える。だが、情報の無い今の状況では答えは出ないだろう。そこで飽く迄、一つの仮説を立てて見る。例えば、何処かの神が何かの理由で"炎導鉄雄"、つまり私に『地球』の事やこの世界が小説だという知識を移植した。という可能性は無いか?それならば知識がある事にも納得出来る。しかし、そんな事をしてその"神"に何の得があるのか?全く分からない。それと他にも疑問があった。私の性格だ。今の私とweb小説の鉄雄とでは性格が違う様に感じる。"炎導鉄雄"へ知識を移植したとして、性格まで変わる物だろうか?う〜む。解せぬ。


鉄雄「ばっぶぅ!」


母「まぁ!どうしたの?何かあったの?」


父「フッ。何か気に入らない事があったのかもな?」


母「そんな簡単には理解しませんよ。」


父「ははっ。そうだな。」


とにかく過ぎた事を気にするのは良く無い。

実はもっと重要な事がある。それは小説の内容だった。

それはこの小説の主人公、"炎導鉄雄"は色々あって10年後にこの優しそうな両親から追放される。そう、この小説はいわゆる追放系と言うジャンルなのだ。


鉄雄「あぶぅ。」


どうしよう。

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