第3話 絶望
「そんな…」
俺は池の前で死んだかのような顔で地面を見ていた。
すると
「がーう!」
何やら鳴き声が聞こえてきた。
「がうがう!」
俺(ゴブリン)が駆け足でゴブリン(俺)の方に来る。
なんだか馬鹿ややこしいなこの状況
「がう?」
言語がわからなくても今のはさすがに「どうしたの?」と言ってるのだろう。
「また…俺の世界が狂ってしまった…」
俺は不満そうな顔で言う。
正直八つ当たりだと自分で分かっていながらもなんだか腹が立ってくる。
ゴブリンにもそのオーラは感じ取れたのだろう
「がう…」
指先をくっつけてもじもじしているゴブリン
チっ心配した感じ出してきやがって
「もとはといえばお前が最後に出てこなければ…」
「せっかく最強スキルとかいろいろゲットしたのに…」
ん?
「最強スキル?」
「そうだ!俺にはまだ最強スキルが!」
ラノベでも雑魚キャラに転生して、無双する系もあるし…!
すぐさま俺は目を細める。
ウィン
こん棒ゴブリン 種族 ヒト
LV・24
スキル 振り回す
破壊の一撃
ガード
「・・・」
「だああああああああああああああ!!」
俺はついに叫んでしまった。
「スキルはそれぞれの体のままなのかよ…」
「かわかわ」ではスキルはそのままだったのに…
まああくまで似せた世界だしな…
俺はいったん深呼吸をして冷静になった。
冷静になってふと思った。
「ってことは…」
俺はゴブリンの方に目をやる
「お前が…最強スキルを?」
「がう…?」
あぁそうか。
野生モンスターだから自分のレベルとかスキルってわかんないんだ。
まあこういうのって人間が作り出したものだしな。
まあでも多分俺の予想通りだろう。
「ていうかそもそも人の言葉わかってんのかな。」
「がう…?」
うん、だめだわかってなさそう。
でも大体こういう世界って魔王とか強めのキャラって人の言語しゃべってるけどな。
よく考えると不思議だなあれ。
確か「かわかわ」では結局入れ替わりは最強と名をとどろかせていた主人公を止めるためで、魔王のせいだったよなー
そして魔王を倒しに行くっていうね…
あれ?てかよく考えたら俺たちも魔王を倒せば戻れる…?
「がうがう」
ゴブリンが「どうしたの?」と言わんばかりに俺の肩をやさしくたたく。
そして俺はその手を片手で重ねる。
「おいゴブリン…」
俺は少し口角を上げて言う
「魔王…討伐しようぜ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます