エピローグ
目が覚める。
とても長くて、少しだけ悲しい、けれど、最後は温かい光に包まれた夢を見ていたような気がする。
わたしが、信号無視の車から、知らない男の子を助けて死んでしまう夢。
それから、お父さんが、わたしをモデルにしたキャラクターが主人公の、シミュレーションゲームの世界を創って、わたしを救おうと、何度も、何度も、挑戦してくれる夢。
最後は、その世界の女の子と、その子のことが大好きな男の子が、力を合わせて、ハッピーエンドでクリアしてくれたんだっけ。
「陽菜、おはよう。ご飯できてるよ」
キッチンから、夫の優しい声がする。
「おはよう。あ、美桜ちゃんも起きて!ご飯食べよう!」
わたしは、隣で眠っている娘の肩を、優しく揺する。
「ん…ママ、おはよう。あのね、なんかね、夢の中で高校生になったわたしと朔くんが…んーなんだったっけ…最初は悲しかったんだけど、美桜も朔くんが大好きで、朔くんも美桜が大好きで…?んー。あ!今日は朔くんと遊ぶんだ!」
「美桜ちゃんは本当に朔くんと仲良しだね」
「そうだよ、美桜、おっきくなったら朔くんと結婚するんだもん」
「美桜もおはよう。いいね、パパも朔くんなら大歓迎だ。あ、美桜、ママのパパから誕生日プレゼントが届いていたよ」
「創おじいちゃんから?やったー!」
「美桜ちゃん、先にご飯にしましょう。おじいちゃんからのプレゼントは、そのあとでね」
「はーい!」
今日も、平和な一日が始まる。
夢の中の二人がくれた、この、かけがえのない現実が。
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