第2話 嘘

学校に着くと、おじさん、やお父さんとあだ名で呼ばれる。ここじゃ、本名で呼んでくれる奴はそうはいない。

席に座っていると俺の隣の席に褐色肌の女が座ってきた。こいつが俺の隣の席の奴だ。俺が帰るとなると、寂しいだのなんだのをほざきやがって対応に困る。俺はうんざりだった。適当にその女に対応してやって、さっさと会話を終わらせた。

裏じゃ褐色肌は他人の悪口やらなんやら、ともかくいい性格じゃないらしいから関わるのはごめんだ。

あの女だったら…悪口なんてのはほとんど言わなかったな。

そんな感じで授業が始まる。毎時間毎時間誰かに勉強を教えて、教えて、やれやれだ。

…あの女なら、もっとわかりやすく教えてただろうな…

なんて事が頭によぎる。確かに男にゃ駄目だったが、博識で、頭は良かった。メリハリもついてて、どこか大人だったな、なんて面影を寄せていると、また違う質問が来ていて、頭を入れ替えて軽くさばいてやった。

正直、わからないんなら予習してこいとツッコミたい。

休み時間、腰を伸ばして、席にもどりまた財布を開いてカードを見るやいなや、とんでもない虚無感が来てすぐにしまった。

んな事を考えてる内に学校は終わっていて、帰り道にまた同じコンビニに寄ってコーヒーを買う。決まってtullyだ。

裏口に回ってる途中に高校の制服を着たまま、ブカブカとタバコを吸ってる身長がやたら高いねぇさんとカチ合わせた。かなりハイペースで吸っていたんだろうな、あたりが煙たくてたまらねぇ。

そんな悪そうな女に踵を返して、さっさとそこそこに金をかけたロードバイクに腰かけもう一口飲む。

また考え込む。よく晴れた日だった。「私と付き合わない?」恥ずかしそうに俺にしれっと言った。それは建前だったのだろう。俺は「そういうのは簡単に決めるもんじゃない」

そう返した。幸せにしてやれるのか、告白への嬉しさが入り混じってこう返した。

相手も何故か残念そうだった。好きでも無いくせに。

俺はその日、生きた気がしなかった。今からならまだ間に合う、言ったほうがいいのか?でも俺じゃ無理だ、いや、でも…

気付きゃ家だった。

それからは、その日から消えることの無い懺悔を背負うことになる。

聴いていた曲が終わり我に帰る。

ため息をついたあと、帰路につく。

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