A Means to an End(気がつけばちっぽけなとわの終焉)
アイス・アルジ
〝A Means to an End〟 あるいは、貴方の浮生は声の届かない愛の再生
-------(貴方の声)
かつて、
砂漠を越えるラクダの背に乗って
海を渡る
魂の救済を求め
吟遊詩人の
色褪せた書物、文字に記された詩を通して
------(貴方の浮生)
いまや
メンフィスから
ロンドン、
リバプール、マンチェスター
ベルリンから
ニューヨークから
LA から
ラジオ電波に乗って
流行のファッション
⁺ Stand by Me (2分58秒)
⁺⁺ Can’t Buy Me Love (2分14秒)
⁺⁺⁺ Imagine (3分15秒)
⁺⁺⁺⁺ Venus (3分50秒)
* Field Day for The Sundays(0分29秒)
** Ich bin ein Komputer(1分11秒)
*** Hurt (3分37秒)
**** Everything I Wanted(4分48秒)
POPミュージックなら、
〝Let It Be⁺⁵ でさえ4分弱〟
いったい、
??
一生はあまりにも短く
(今でも)天国を探し続けている?
-----(貴方の声は届かない)
Tokyo Rose⁺⁶
Radio Ethiopia⁺⁷
Video Killed The Radio Star⁺⁸
(どこへ行ってしまった?)
Voice of America⁺⁹
の、NO 、脈打つノイズ
黒い鏡に刻まれた、身体のマントラ
装置に封印された魂
〝We Hate You*⁵〟
----(A Mean……)
ネットに
漏れ続ける音は、
漂い、霧のなかに浮かぶ墓場をうろつき
こだまする深い森に迷う
皆、どこへ行ってしまった
---(A Means to……)
一日だけ
そう、
17秒あれば
4時間?
24時間、踊り続ける人々
ループする時間とリズム
5年!
10年!! という時がすぎる
--(A Means to an End*⁶)
化学樹脂の軍隊人形のよう、逆さまに
渦巻くランドリーのなかで
回る、ただの訪問者
くつろいで? 胸騒ぎ?
いたたまれず、
皆、どこへ行ってしまった?
誰もいないローズガーデン
あるいは、溶け残った早朝のみぞれ雪
葬儀の匂い
立ち続ける白い大理石の彫像
刺し
墓碑のうえ、彫像は砕け散る
その愛により、
-(貴方の浮生は声の届かない愛の再生)
夜明前
降る冷気
誰もいない舞台
宵のホラ話、熱は引き
鍵盤が静かに音を
音は
愛は死をも超えるのか?
彼岸で踊る影絵遊び
ザラついた壁に投影される
スローモーションのように、
繰り返し繰り返し、再生される 。
参考アーティスト:
RC サクセション, ⁺ Ben E. King, ⁺⁺ The Beatles⁺⁵ ,
⁺⁺⁺ Jhon Lennon (& Ono Yoko), ⁺⁺⁺⁺ Television,
* Wire, ** Der Plan, *** Jhonny Cash,
**** Billy EiIish, Antenna,
Pauline Murray & The Invisible Girls, Patti Smith,
The Buggles⁺⁸, Cavaret Voltaire, Throbbing Gristle*⁵,
Joy Division*⁶, David Bowie, The Cure,
Clock DVA, Vivien Gorldman,
Soft Verdict (&Peter Gordon),
Fra Lippo Loppi, Shakira, The The,
PSY・S (サイズ)
など
説明 :
(⁺6)太平洋戦争中、日本軍の行った海外向け
ラジオ放送の女性アナウンサーの愛称
(⁺7)Patti Shmith Group のLP
(⁺8)アメリカの国際向け国営放送ネットワーク
/Cavaret Voltaire のLP
後書き:
―― (ついつい書き過ぎて…… 後書きは、Rock ファンでなければ読まなくても OK です。詩よりこちらのほうが長くなってしまった)
私の Rock 系音楽体験が投影された作品でもあります。Rock と言うと誤解を与えるかもしれませんが、最近で言うところの、主には Post Rock 的な(一言では説明できませんが、反 Rock 的でジャンル不明の音楽、Rock の〝死〟当時の先鋭的なアーティストの合言葉に近い〝Rock でなければなんでもいい〟Rock を否定したからこそ最も Rock 的な…… なんのこっちゃ? ’70 代末から ’80 代前半は革新的 Rock が生まれた時だった。機会があればいずれ解説でも…… 誰が読むのか? 日本では非常にマイナージャンルだと……)かつて以上に…… もう、あの頃の
〝詩〟としては、少し盛り込みすぎ(わかりにくい)かも? でも、私(死)的な詩として、書きたいことはかなり書けたかと…… しっくりくるタイトルが決まらず迷ってしまい、結局、曲名から拝借しました。
〝A Means to an End〟直訳すると〝目標達成の手段〟しかし Joy Division のリーダー Ian Curtis が歌うと〝死〟のイメージが強い、彼の目指すものはまさしく死そのものだ。
彼の死後発売された、〝 2nd にして Last 〟アルバム〝Croser〟は、全てが死のイメージに塗り込められ閉ざされた、あまりにも暗く沈み込んだ、死のダンスミュージックだ(その後 New Order と改名し、死を乗り越えて数年後、人気の高い先鋭的な POP ダンスバンドとなった)。
プロデューサーでエンジニア Martin Hannett の音響は、死せる魂を映し込むように静謐で繊細だ。演奏はどちらかと言うと単調で暗く沈み込むように、モノクロームなビートと…… Ian のボーカルだけが、ときに滑らかに色を帯び、やがて消え入るように、心を貫く存在感と消滅、光と闇。当時無名の Peter Saville のアートワークも Rock アルバムとは思えないほどすばらしい、臨終を迎える聖人をリアルに表した大理石のレリーフ、陰影のある密なモノクロ写真、タイトルとグループ名だけの抑制されたタイポグラフ、このシンプルな構成は、驚異的に美しく悲しく、レコード(ジャケット)は〝パッケージを超えたイコン〟として昇華した(この後、大理石の彫像は Post Punk のイメージを表わす重要なアイコンのひとつとなった)。
この圧倒的な〝負〟のエネルギーに満たされたアルバムは、後半に進むにしたがって死への密度は高まり、ラストはまさに死を追体験しているかのよう。心臓の鼓動のようなビートは緩やかにフェイドアウトし、霧だけが立ち込める。この音楽は、彼らと当時の時代性が交錯して生み出された、奇跡的な結晶とも言える。(今聞けば未熟な面も…… ほぼ同時期、或いは、その後に発売された同質で共鳴的なアルバム The Cure の〝Seventeen Seconds〟や Clock DVA の〝Thirst〟のほうが音楽的には優れているが、当時は〝Closer〟が最も輝いていたし、思い入れが強かった…… でもお勧めはできないか? 今なら、いがいに Rock らしかったり?…… 聞くのなら〝Seventeen Seconds〟がお勧めかな、最も POP だと思うし、The Cure は今でも現役の人気バンドだ。Clock DVA は忘れられたバンドだが、このアルバムだけは奇跡的な傑作だ。ちなみに〝Thirst〟のジャケット裏には(悪名高い?)カルトアーティスト〝ノイズ-インダストリアルミュージックの教祖〟Genesis P-Orridge が書いた Ian Curtis への追悼メセージが掲げられている。〝Thirst〟が最も音楽的レベルは高いと思うが、かなりマニアックか?)
あまりにも少ない言葉で、あまりにも多くを語り尽くしてしまった Joy Division 。 当時無名だった彼ら、今では伝説のバンドと言われることも…… その後〝彼らの不在〟を埋めるように、彼らの影響を受けた多くのバンドが世界中に出現し、多くのミュージシャンが彼の死を悼んで、明らかに追悼と思われる曲を残した、(残念と言うげきか、日本ではあまり……)そして今でも……。未だに Ian の亡霊が Rock 界に
この詩のなかの言葉の多くは、楽曲からのイメージに強く影響されています。
――2025/06/27//Ice・A――
A Means to an End(気がつけばちっぽけなとわの終焉) アイス・アルジ @icevarge
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます