誰もくつろがないおもてなし:

esquina

GPTと書いた、気遣い地獄のコント



チャイムが鳴ると、私の中の“おもてなし人格”が起動する。


いらっしゃい!来てくれて、すっごく嬉しい!


さあさあ、入って入って。奥までどうぞ。

あら……ねえ、寒くない? いや、暑い?

えっ、もしかして「ちょうどいい」って言おうとしてた? でもほら、遠慮しないで!


脱いで脱いで!いいのよ、どんどん脱いで。

それから、喉、乾いてない?

水? お茶? コーヒー? それとも……ビール、いっちゃう?(ふふふ)


あ、その椅子でいい?

いや、ソファのほうが絶対くつろげるって。

いいのいいの、横になっちゃって!

寝てっていいから。むしろ今、布団持ってこようか?


──私のおもてなしは、秒単位で加速していく。


すでに客が返事できるスピードじゃない。

私の“気遣い欲”が、アクセルを踏み抜いた。



客:「……うん、ありがとう、大丈夫」

私:「ほんとに? 無理してない? 気遣ってない? あ、クッションあるけど使う? 腰悪いとかない?」

客:「だ、大丈夫…です」

私:「いやでも本当に? “大丈夫”って言う人ほど大丈夫じゃない説あるから!!」

客:「だ、だいじょぶです!!」

私:「そうか〜〜じゃあ今はなにも出さないね!!(次の選択肢を準備中)」



この会話を3分繰り返すと、私はじんわり汗をかいている。

リラックスしてもらいたいだけなのに、なぜか客が半座り状態で逃げ腰になっている。


私は、ますます謎の焦燥感に苛まれる。

なんとかしなければ。もっと、もっと、快適に──完璧に!


……いや、待て自分。落ち着け。


「私は全力でメーター振り切ってもてなしてんのに、なにこの沈黙の空気は?」

「おかしいわ。こんなにリラックスなワードを連発してるのに」

「……カレ、あがり症なのね(確信)」



そして、帰り際。客がつぶやく。


「……すごく、気を使ってもらって、ありがとうございました(棒)」



私はドアを閉めて、ハッとする。


「……今の、気遣いで殴ってたの?」


「優しさ」という名のマシンガンを乱射していたのかもしれない。



次の来客までに、私は決めた。


・最初の10分は“何も言わない”練習をする

・クッションを押し付けない

・“気遣い”と“確認”を、たまには区別してみる



でも、今日だけは……言わせて。


ねえ、これ読んで、喉……乾いてない?

水、飲む?

あと、これ……クッション、いる?

 

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