第17話 ナルマ
「え?」
イケニエから姿を変化させたモンスターの上には<ザクロン>と書いてある。
その足元に、リッカさんは倒れている。
ナターシャさんが叫ぶ。
「こ、これは? まさか、ヒカルの罠だったのか!?」
「くくく…違うな。イケニエの顔はあの忍者しか知らんからな。イケニエに化け、ヤマタノオロチと戦って消耗したところを狙わせてもらった。力押しではなく、頭を使わないとな」
「くっ!」
「ナターシャさん! 今度こそ逃げましょう! ヒロトさんたちの方にはオロチはいないから、きっと馬車に戻っているはずです!」
「バカめ。オロチが1体だと誰か言ったか? 夫婦で2体いるのさ。あちらでもオロチと戦っているだろう。もっとも、もうお前たちの仲間は死んでいるかもしれんがな」
「そんな…」
「さて、お前たちを倒し、魔王様から世界の半分をいただくとしよう」
ザクロンはこちらに向かってくる。
ジャンヌさんとリッカさんは気絶している。
残るは、オロチと戦い精力も使って消耗したナターシャさんと、私。
「ナルマ、私が引き付ける。その間にお姉さまとリッカをポーションで回復しろ。間違っても変な薬を飲ませるなよ」
「わ、わかった!」
「よし」
ナターシャさんは二丁拳銃を構え、ザクロンに向かって走り出す。
私はまず、ジャンヌさんのほうに向かう。
よし、今度は間違えずにポーションを…
「あれ?」
ない。
そもそも入れ忘れていたのだ。
私としたことが、なんてこと。
「うぁぁ!」
振り向くと、早くもナターシャさんはザクロンに倒されていた。
「くくく。さて、淫気を頂くか」
ザクロンはナターシャさんを責める。
「やんっ! 私の体は、お、お姉さまだけのぉ! ああぁん!」
シュウウウウ
ナターシャさんからピンク色の淫気が放出される。
ザクロンはそれをゴクリと飲み込む。
さらに、ジャンヌさんとリッカさんに触手を伸ばす。
「はぁう!」
「だ、ダメぇ!」
2人からも淫気が放出される。
それも飲み込まれる。
「くくく。残りはあの商人1人。楽勝だったな」
ザクロンは私に向かってくる。
「お、お願い! 淫気は渡すわ! だから、私は見逃して!」
「ほう? 仲間を売ると?」
「この人たちは、別に仲間なんかじゃない! 私はただ、借金で解放してもらえなかっただけ!」
「ふん。いいだろう。しかし、淫気はいただくぞ」
ザクロンは
私に触れ、キスをしてくる。
しかし。
チュル チュパッ
「むぐっ!?」
私は逆に、ザクロンの口に舌を入れる。
「ふぐっ! むぐっ! あぁ!」
シュウウウウ
ザクロンからピンク色の淫気が4つ放出される。
ジャンヌさん、リッカさん、ナターシャさん、そしてザクロン本人のものだ。
ゴクン。
私は、その4つとも飲み込む。
私の体がピンク色に光る。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/hm-ciao/news/16818792436410413498
「最後にイイコトできて、良かったわね」
ズドォオン!
私はザクロンを殴り飛ばす。
<ザクロンを倒した!>
私のピンク色の光が消える。
そのとき。
「くっ」
リッカさんが目を覚ます。
危ないところだった。
「あ、あいつは?」
「ナターシャさんにまた間違ってバーサーカーリキッドを飲ませちゃって、そしたら倒してくれました。ただ、ナターシャさんは覚えてないと思いますけど」
「まったく。まぁ、結果オーライってとこか」
こうして、私たちはジャンヌさんとナターシャさんも起こして、馬車に戻った。
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