優しい水色の世界
あの日の日だまりで
世界は霞がかって
物語の旅人となり
淡い幸せだけが息づいていた
一定値を超える痛みだけに
突き動かされている
知恵と知識を積み上げても
獣の心で愛を感じている
生暖かい風や景色は
思いの外 荒んだ心を癒やしたけれど
何かが足りない違和感がこびり付く
変えたいと思うことで
時の流れを実感しては過去に想いを馳せて未来を押し返す
失うことを恐れるも
何かを得るには何かを失うように
何かを失えば何かしらを得るのだ
必要ないと感じたその先に
何か大切な得難いものがあると思い込んだ
ほんの少しの悪意に触れれば悪意で対抗しようとする子供のように
制御不能なほど狂い求めた
狂気は目に見えない
鳶の軽快な鳴き声さえそれを加速させる
愛することでようやく満たされた
愛されるだけでは足りないのは
自覚がないだけかもしれなかった
感性は中世をさ迷って
感受性はどうしようもなく
あの頃に戻りたがって朝日に焦がれた
ああ この琥珀の匂い
記憶を辿っても心当たりの無いそれを
まるで知っているように
いつかの強固な想像の中で嗅いだ
ないものねだりと強がりが食い合って
あなただけが瞳に映る
私が命投げ打ってでも欲しいもの
強請っても強がっても
きっと手に入らない
そうして優しい神様は
世界を気まぐれに水色に染める
私はそれがとてもお気に入り
何もかもが幸せのベールを着て
鳥たちはオルゴールの中で囀り
陽光の温もりがレースの空気を彩る
それらは私に優しい水色の空間
神様の気まぐれは
数年に一度しか起こらない
現実離れした幸福はまるで夢のよう
すぐに覚めてしまう
夢のような瞬間のために
私は生きている
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